米利下げ観測後退で総じて軟調
- MRA商品市場レポート
2025年8月1日 第3027号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米利下げ観測後退で総じて軟調」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は天然ガスやブラジルに対する関税の影響があるコーヒーなどのその他農産品の一角が上昇したが、その他は軒並み水準を切り下げる動きとなった。
昨日発表された米PCE価格指数が同国の物価上昇を示唆する内容だったことで、米FRBによる利下げ観測が後退したことが材料となり、ドル高・株安となったことがドル建てリスク資産価格を下押しする流れを強めた。
また、朝方発表された中国の製造業PMIは米関税や景気刺激策の一巡で減速が確認されていることが、工業金属価格を大きく押し下げた。なお、中国は昨日政治局会議が終了したが、「積極財政と穏健な金融政策」方針は確認されたものの従来の方針となんら変わっていないことから、同国景気の先行きへの懸念が強まったため、広く工業金属価格を押し下げる材料となっている。
昨日発表の米個人所得は前月比+0.3%(市場予想+0.2%、前月▲0.4%)と市場予想を上回り、支出は+0.3%(+0.4%、±0.0%)と市場予想を下回った。
PCE価格指数は前月比+0.3%(+0.3%、+0.2%)・前年比+2.6%(+2.5%、+2.4%)、コア指数が+0.3%(+0.3%、+0.2%)・前年比+2.8%(+2.7%、+2.8%)といずれも伸びが加速、Q225の雇用コスト指数も前期比+0.9%(+0.8%、+0.9%)と伸びが加速している。
結局、トランプ政権の移民強制排除の動きで雇用市場に歪みが発生しており、賃金に上昇圧力が掛かっていることが所得を押し上げていると考えられるが、関税の影響で物価が押し上げられているため、消費にやや影響が出始めていると整理できる。
この状態だと、トランプ大統領が「頭が悪い」とこき下ろしているFRBパウエル議長が利下げに踏み切れないのは当然ではないか。また、FF金利先物を元にすれば9月・10月の利下げの可能性は低く、12月利下げがコンセンサスである。
こうした流れを受けて各国の長期金利には上昇圧力がかかりやすくなっている。
◆本日のMRA's Eye
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