露二次制裁懸念でエネルギー堅調 その他は調整
- MRA商品市場レポート
2025年7月30日 第3025号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「露二次制裁懸念でエネルギー堅調 その他は調整」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はエネルギーセクターやその他農産品価格が上昇したが、その他の商品は総じて軟調な推移となるものが目立った。
昨日発表のJOLT求人とコンファレンスボード消費者信頼感指数は内容が乖離しており、非常に評価が難しいが「雇用環境は悪化しているが、まだ個人消費は堅調」であることを確認する内容であり、需要増加期待はエネルギー価格の上昇要因となったが、それに伴いドル高が進行したため、結局、米国が主体的に消費を行っていない非鉄金属などの価格は下落した。
エネルギーは、米国がロシアに対して要求している停戦の期限が10日程度(恐らく8月10日前後)に切られ中、現在400万バレル程度輸出されているとみられるロシア産原油の供給減少観測も価格を押し上げる形となった。
JOLT求人は正直強い内容とは言えず、米国の雇用の受け皿である宿泊飲食サービスや、ヘルスケアなどの求人数が前月から各々▲26.4万人、▲24.4万人減少している。
自発的失業者は314.2万人(市場予想326.2万人、前月327万人)と市場予想・前月を下回り、解雇者数は160.4万人(156.8万人、161.1万人)と市場予想を上回った。このことは進んで職を離れる人間が減少する一方、企業側は人員整理を進めようとしていることを示唆している。
コンファレンスボード消費者信頼感指数は個人消費は堅調であることを示唆しているが、どちらかと言えば雇用関連の指標であるため、先々回復が期待できるとも言える。トランプ政策の効果はまだ明確に顕在化しているという感じではない。
この状況を把握する一助となるのが、昨日公表されたIMF経済見通しだ。見通しでは2025年の成長見通しが前年比+3.0%(前回見通し比+0.2%)と上方修正された。これは米関税交渉を巡る不透明感が、交渉の進展によってやや払拭されつつあることが材料であり、世界貿易見通しが前年比+2.6%(+0.9%)と上方修正されたことや、中国や欧州、米国などで財政出動が拡大する見通しであることが影響している。
消費者物価指数は+4.2%(▲0.1%)と鈍化する見通しであるものの、財政拡張や関税政策の影響で高い水準を維持する見込みで、2026年も+3.6%(±0.0%)が見込まれている。
つまり、想定よりも関税交渉は緩い水準で着地、財政出動が景気を想定よりも上振れさせるがインフレは続く、という整理になろうか。
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