ロシア二次制裁観測でエネルギー堅調 銅原料関税は見送り
- MRA商品市場レポート
2025年7月31日 第3026号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「ロシア二次制裁観測でエネルギー堅調 銅原料関税は見送り」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は農畜産品セクターとエネルギーセクターが上昇、金属セクターは軒並み水準を切下げる動きとなった。
昨日はFOMCが最大の注目材料だったが総じてタカ派的な内容であったこと、同時に米雇用関連統計が強めの内容であったこと、米関税交渉が形はどうあれ進捗していることが景気への過度な悲観論を後退させたことがドル高を進行させたことが広くドル建て資産価格を押し下げることとなった。
非鉄金属関連は結局、新興国の需要(最早、中国を新興国に分類する意味は無いように思いますが)特に中国の需要に左右されるが、不動産問題を処理しないが極端な景気下振れを回避する政策が採択されているため、米中の関税交渉の状況が更に悪化しなければ、基本、需要見通しは中立であることから為替の影響を受けやすい環境にある(もちろん、個別の金属ごとに需給バランスには差があるが)。
安全資産として物色されていた金は、実質金利の上昇や関税交渉の進捗が下押し材料となっていると見られる。
一方、エネルギーに関してはロシアに対する二次制裁強化の可能性が高まっているため、水準を切り上げる動きが続く。
昨日のFOMCは予想通りであるが利下げは見送られた。しかし、ウォラー、ボウマン両理事は利下げを主張し、全会一致ではなかった。
この2人はトランプ大統領に指名された人物であるが、特にウォラー理事は時期FOMC議長の候補である。その可能性を高めておきたいが故に、そもそもタカ派であるにもかかわらず利下げを主張した可能性は高い。
その背景に、「仮に自分とボウマンが反対しても、多数決で利下げは見送られるだろう」との読みがあったのではないだろうか。少なくとも今の米国の統計をみて予防措置的に利下げを行う判断は、中央銀行としては難しいだろう。
この他、昨日は多数の重要統計が発表されている。Q225米GDPは、前期比年率+3.0%(市場予想+2.6%、前期▲0.5%)と市場予想を上回る回復となった。ただしこれは、関税引き上げ前の駆け込み需要が剥落した結果、輸入が急減(前期比+37.9%→▲30.8%)したことに拠るところが大きく、トランプ政策の歪みに因るものである。
また、一連の関税政策で市場を大混乱に陥れていたが、銅の「原料」に対する関税適用は見送られることになった。結局、海外調達比率が50%近い商品にも関税を掛けると調達コストが単純計算で25%上昇し、米国内の製造業の業況にも影響がでるためであり、ある意味当然と言えば当然の判断だろう。
同じように「ボルソナロ大統領を救うため」として内政干渉をしているブラジルに対しても、鉄鉱石などの関税適用は見送っている。なお、話がそれるが米国はお隣のベネズエラにも積極的に内政干渉しているため、(トランプ氏は明らかに公私混同であるが)こうした米政権の動きは今に始まった話ではない。
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