関税交渉進捗を楽観 総じて堅調
- MRA商品市場レポート
2025年7月24日 第3021号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「関税交渉進捗を楽観 総じて堅調」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はエネルギーと貴金属、その他農産品を除けば堅調な推移になる商品が目立った。
日米関税交渉が合意にいたり、EUとも妥結が近いとの見方が広がっており先々の不透明要因が解消に向かっていることから、リスク選好が回復していることが、リスク資産価格を広く押し上げることになった。
一方エネルギーは比較的素直に現在の米国の状況を反映していると見られ、昨晩の石油統計を受けて水準を切下げた。石油製品出荷のうち特に重要なガソリンとディスティレートの出荷が減速したことが材料視されている。
日米は関税交渉で合意、その影響の「初期段階の分析」は昨日のMRA商品市場レポートを再読頂きたいが、その後、明らかになった詳細を列挙すると以下の通りである
・基礎関税率は15%
・自動車、医療品、半導体などの分野も15%の関税を適用
・鉄鋼・アルミ関税は50%
・日本は政府系金融機関による最大5,500億ドルの出資・融資・融資保証枠を設定
・「ジャパン・インベストメント・アメリカ・イニシアティブ」の元、半導体、医薬品、造船、AIなどの経済・軍事の安全保障に関わる分野で「日本企業の」対米投資を拡大(恐らくこの中にアラスカLNGプロジェクトも含まれる)・米国産コメ輸入増加・米国車の認証手続きを簡素化
・日本は航空機などを米国から購入(合意の中には武器購入は入らず)
結局、もともと3.3%だった平均関税率が15%以上に上がるため結局、輸出企業は価格転嫁をしなければ利益率が下がり、価格転嫁をすれば売上が落ちる可能性がある。最終的には米国民の負担は不可避だが、しばらくは日本側の負担が重くなるだろう。
また、懸念されていた5,500億ドルの投資も融資枠の設定であり、「使ってなくなる」ものでは無さそうだ。最終的に米国に投資が増えて米国に工場ができ「米国の輸入減少、場合によっては日本への逆輸入拡大」で貿易赤字が減少する可能性はあるが、かなり時間が掛かることになる。
その意味では米国の貿易収支赤字の削減に寄与するのは、自動車関税強化と航空機100機の購入ぐらいではないか。
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