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ドル安進行で続伸 日米は関税協議で合意
  • MRA商品市場レポート

2025年7月23日 第3020号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「ドル安進行で続伸 日米は関税協議で合意」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はエネルギーと穀物セクターの一角が生産見通しの楽観で下落したが、その他の商品は軒並み水準を切り上げるものが目立った。エネルギーは関税発動・OPECプラスの増産開始を控えた需給緩和観測が価格を押し下げた。

その他の商品は総じてドル安進行などが材料となり水準を切り上げている。特に今年はトランプ関税の影響は置いておいても、非鉄金属セクターを投機筋が投資対象として見ている可能性が高く、金属セクターの上昇が顕著だった。

過去にも見られたことだが、貴金属セクターの上昇余地が限定され始めると、連想ゲームか非鉄金属にも買いが入ることが多い。この場合、銅やアルミがまず上昇し、それに亜鉛・ニッケル・錫が追随する形となる(鉛はやや別の目線で動く)。

今年は中国や欧州もインフラ投資に舵を切っていること、実需への影響は限定されるが軍備増強などの動きも鉱物資源需要を押し上げる。また、インドの近代化に向けた投資も鉱物資源需要の増加観測を強めている。

インドの国の成り立ちや、2000年以降の中国の成長に歩調を合わせる形で発展してきた東南アジア諸国の製造業の供給能力の拡大を考えると、インドが中国にとって変わって「世界の工場」になることはないと見ている。

ただし、人口ボーナス期入りしていることから近代化に向けた投資が増加する可能性は高いこと、近代化の過程では中間所得者層の増加に繋がる製造業の拡大が起きる可能性が高いことから、鉄鋼・非鉄金属需要の増加に寄与する可能性は高い。

なお、先ほど日米が関税交渉で合意した。米トランプ大統領はかなり無理筋な条件を日本に呈示していたが、GDP規模が世界4位で米国の同盟国中の経済規模はドイツに次ぐ2位である日本と合意しないことは、米国にとってもマイナスだったため、正直「よくやった」と同氏は思っているだろう。

報道ベースでは詳細がはっきりしていないが

・相互関税15%(日本に15%の片務関税だがこのようにトランプ氏は表現している)
・自動車についても15%関税を適用
・日本は自動車と農産品市場を開放する
・日本が米国に5,500億ドル(約80兆円)
・日本はアラスカLNGで米国と合弁(トランプ氏のSNSでのコメント)

という内容。もともと25%関税、自動車も25%関税だったので鉄鋼・アルミ・銅を除く商品で15%関税にまで引き下げたのは、日本側も頑張ったということだろう。

しかし冷静に考えると今まで掛かっていなかった関税が掛かり、米国に投資し、農産品市場も開放する、ということで日本とすれば得るものがそれほどない。


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