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ドル安進行で総じて堅調
  • MRA商品市場レポート

2025年7月22日 第3019号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「ドル安進行で総じて堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は総じて水準を切り上げた商品が目立った。下落したのはエネルギーセクターであり、素直に解釈すれば景気の先行きへの懸念が意識されたとみられる。

一方、上昇が顕著だったのはその他農産品や金属セクターで、ドル安進行や株価が堅調だったこともあり、今後の構造的な需要増加といったテーマ性があることから物色されたと考えられる。

大きな流れでは、FRBが利下げをどのタイミングでどれぐらいの規模行うかが次の焦点となるが、今のところ7月利下げの可能性は低く、9月に▲25bp、ないしは状況によっては▲50bpの利下げの可能性があるが、関税の影響が顕在化し始めるタイミングでもあり実際に利下げができるのかは微妙である。

8月1日の関税発動はほぼ確定であり、米高官の発言を鵜呑みにするならば8月以降も関税交渉は継続すると考えられる。日本は参議院選挙があるため「弱腰はダメだ」という論調が強まる中で、トランプ大統領に華を持たせて実を取るという戦略が取れなかった結果、結局虻蜂取らずになる可能性が出てきた。

恐らく、8月1日から25%の基礎関税が掛かるという前提でダメージコントロールをしておく必要があるだろう。ただ、米国も関税引き上げの影響を回避できる訳ではなく、関税引き上げの影響はこれからが本番となる。

なお、既に米国の物価も上昇を始めており、海外からの輸入依存度が高いと考えられる繊維製品(前月比+0.4%、前月▲0.4%、前々月▲0.2%)、家電製品衣類(+1.9%、+0.8%、+0.8%)、室内装飾品(+1.0%、+0.3%、+0.2%)、パソコン(+1.4%、+1.1%、+0.7%)と、上昇基調だ。

ここに8月以降、関税が課される訳だが平均が20%程度とされ、海外からの輸入比率が全体で3割程度と言われる中では、調達コストが平均で6%程度上昇することになる。

これは業種によっては利益が全て吹き飛んでしまうレベルであるため、最終価格への転嫁は業種にもよるが不可避だし、関税の影響を米消費者に認識してもらうためにも価格転嫁は必要と言える。

とはいえ、当面は販売動向を睨みながら、本当に価格転嫁できるのかどうか、コスト削減で何とかなるのかと言ったことを、関税を最終価格に転嫁せずにコストとして払いながら、確かめて行く必要が出てくる。

その意味では、関税率がこれ、と決まってしまわないことには対策も立てようが無いというのが現実ではないだろうか。となると、やはり米国との関税交渉は非常に重要になってくる。

注:今後の為替や国内金利の動向を考える上で必要なため「本日の見通し」のところで政局分析をしていますが、弊社は政治分野の分析は専門ではないので、ここから先は、かなり割り引いて読んで頂ければ幸いです。


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