想定以上の米小売売上高で総じて堅調
- MRA商品市場レポート
2025年7月18日 第3018号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「想定以上の米小売売上高で総じて堅調」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は金や農畜産品など景気に連動し難い商品がドル高進行もあって売られたが、その他の商品は軒並み水準を切り上げる展開となった。
注目の米小売売上高が前月比+0.6%(市場予想 +0.1%、前月▲0.9%)、除く石油が+0.5%(+0.3%、▲0.2%)、除く自動車ガソリンが+0.5%(+0.2%)と非常に強い数字となったうえ、悪化するとみられていた米週間新規失業保険申請件数も221千件(233千件、前週228千件)と改善しており、雇用・消費とも堅調であることが米経済ヘの楽観を強め、株高・ドル高・商品高となった。
また、フォワードルッキングな指標であるフィラデルフィア連銀指数も15.9(▲1.0、▲4.0)と大幅に改善しており、急速に米景気ヘの楽観が広がった形。内訳を見ても新規受注が18.4(前月2.3)と大幅に改善、出荷も23.7(2.3)と好調。雇用は移民排除の影響もあってか10.3(▲9.8)とタイトな状態。
仕入価格は58.8(41.4)と上昇、販売価格も34.8(29.5)と上昇しており、調達コストの上昇分を転嫁する動きも見られ始めている。6ヵ月先予想でも仕入価格が75.3(68.9)、販売価格が59.4(52.5)と上昇する見込みである。しかし、新規受注は30.0(22.1)と改善を見込んでおり、足元、そこまで関税政策の影響を悲観している、という感じでもなかった。
こうなると、連日、トランプ大統領は利下げを連呼しているが、7月のFOMCで利下げをする理由はなくなってくる。トランプ大統領にすり寄り、次期FRB議長を狙うウォラー理事はタカ派なはずだが昨日のタイミングで「予防的な利下げに意味はある」と発言している。
経済学的には物価上昇圧力が高まっている時に利下げは難しい。ただ、学士ローンや自動車ローン負担の重さが今後の消費に悪影響を与える可能性が高く、昨年から言われ続けている商業用不動産市場が悪化する可能性があること、関税引き上げは財を扱う企業業績にマイナスに作用すること(詳しくは本日のMRA's Eyeをご参照下さい)、を考えると利下げが是とされることは否定しない。
しかし、昨日の一連の統計をみるにこのタイミングではなく、9月利下げ、場合によって9月に▲50bpの利下げの可能性が高いと考える。いずれにしても9月までは利下げができないため、関税が発動する8月とFOMCが始まるまでの9月は非常に重要な2ヵ月になるとみている。
本日の見通し、昨日のセクター別動向と本日の見通し、マクロ見通しのリスクシナリオ、本日のMRA's Eye、主要ニュース/エネルギー・メタル関連ニュース/主要商品騰落率/主要指数/市場の詳細データPDFは、有料版「MRA商品市場レポート」にてご確認いただけます。
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