米CPIを受けて上昇後下落
- MRA商品市場レポート
2025年7月16日 第3016号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米CPIを受けて上昇後下落」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は米天然ガスや畜産、穀物セクターの一角を除けば総じて水準を切下げる商品が目立った。いずれも米トランプ関税を切っ掛けとした動きといえる。
上昇した商品は米関税の影響を受けたオレンジジュースや、バイオディーゼル需要増加を促すような米政権の政策の影響を受けたものといえ、下落している商品はトランプ関税の影響で米CPIが上昇、金利上昇・ドル高進行の影響を受けた。
昨日発表の米CPIは前月比+0.3%(市場予想+0.3%、前月+0.1%)と伸びが加速、コア指数は+0.2%(+0.3%、+0.1%)と伸びは加速したが市場予想は下回った。
しかし、前年比では総合指数が+2.7%(+2.6%、+2.4%)、コア指数が+2.9%(+2.9%、+2.8%)と前月から伸びが加速、概ね市場予想を上回っている。米FRBは物価上昇率を前年比+2.0%に維持するように政策を進めていたが、トランプ大統領がパウエル議長に対して利下げを強要できるほど物価は下がっていないし、むしろ前月から伸びは加速している。
「利下げが遅いことで伝説的な議長」とパウエル議長を罵倒し続けているが、利下げができない理由が自分にあることをすっかり忘れている(ないしは仮に景気が悪化してもそれを全て他人のせいにする予防線を張っている)ようだ。
米CPIの内訳を少し細かく見てみると、トランプ大統領が「下がった」と大騒ぎしている鶏卵は確かに前月比▲7.4%と大幅に下落している。しかし、前年比では+27.3%(前月+41.5%)と大幅なプラスであり、食品全体でも前年比+2.4%(+2.3%)と上昇は続いている。
CPIへの寄与度が大きい帰属家賃は前年比+4.2%(前月+4.2%)、前月比+0.3%(+0.3%)と高い水準を維持しており、自動車関税引き上げを受けて自動車のレンタルは前月比+3.2%(+2.7%)、前年比でも+3.8%(+1.3%)と伸びが加速している。
ただし、耐久財は前年比+0.6%(前月±0.0%)、前月比+0.1%(▲0.1%)と販売者側の前倒し調達やコスト削減、利益圧縮の影響でそこまでの伸びにはなっていないが、コストプッシュによる物価上昇はこれからではないだろうか。
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