ロシア制裁強化・二次関税観測で下落
- MRA商品市場レポート
2025年7月15日 第3015号(簡易版)商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「ロシア制裁強化・二次関税観測で下落」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は米天然ガスや、米政府が50%関税を課すとしたブラジルが主要生産国であるコーヒーやオレンジジュースなどが上昇したがその他は水準を切下げる商品が目立った。
米トランプ政権がロシアに対して50日以内の停戦がなければ追加制裁を課すこと、ロシアからガス・原油を購入している国に対しては100%の関税を課すとしたことで、中国・インドやグローバルサウスの景況感が悪化するとみられたことが、商品需要の重石となった可能性がある。
市場の反応は複雑であり原油価格は「ロシア産原油・ガスが市場から閉め出される結果、その他の原油・ガス需要が増加する」とみる向きがショートの買い戻しを入れて上昇する局面があったが、むしろ景況感の悪化の方が意識された可能性が高いと見られる。
現在の市場動向を見るに、株式市場とその他の市場の反応にかなり乖離があるという印象は否めない。株高の背景に、関税は「ディールの一環」であり、いずれ水準が切下げられるとの見方が根強く、過度に関税が引き上げられるとの前提でプライシングしていた市場参加者が買い戻しを入れている状況。
また、企業の駆け込み調達や利益を削って販売価格を押さえる戦略の影響で消費者物価は上昇していないことから、利下げは問題なく行われるとの楽観が広がっていることも価格を押し上げている。
これに加えて「これまでよりもインフレの水準が低下したとしても、いわゆる中立金利の水準が上がる」可能性が意識されていることもインフレ資産である株価の上昇要因になっていると考えられる。
しかし、コモディティの場合は明確に関税の輸出入障壁が発生していることから需要の減少に繋がる可能性は高い。昨日の中国の貿易統計では中国と米国の貿易取引の鈍化が確認された。
昨日発表された中国の貿易統計は、中国と米国の貿易が鈍化(年初来累計ベース)していることが確認される一方、中国はその他の地域との取引を活発化させている。しかし、今後、中国からの迂回輸出は関税率が引き上げられる他、ロシアから原油やガスを購入していれば関税が100%になるため、特に、多くのコモディティの需要牽引役である新興国の需要を減じかねない。
仮に、ロシア産以外の原油・ガスを求めることになると、輸入インフレを誘発して金融政策の自由度が低下、景気下振れの恐れもある。
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