米関税発動日決定で強弱まちまち
- MRA商品市場レポート
2025年7月9日 第3013号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米関税発動日決定で強弱まちまち」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は軒並み下落した。トランプ大統領が「関税の期限を8月から延期しない」と発言したことで、景気減速への懸念が強まり株が調整したことが影響した。
やはりどこかの報道会社が「TACO」と煽った結果、市場との対話をトランプ大統領は放棄したと考えられる。
現在の世界中の為政者はSNSでの反応を注視する風潮が強まっており、より大衆迎合的な政策が取られる一方、ネットを駆使している大統領になった米大統領からすれば、ネットの「煽り」は許さないと意固地になってもおかしくない。これは恐らく日本も同じであり、良くも悪くもそういう時代になったということは意識せざるを得ない。
ただ、目先の「不確定要素」がなくなったとして買い材料とする向きもあると考えられるため、現時点での評価は難しい。しかし、関税は輸出活動を減じるため常識的に考えて景気の下押し要因となり得る。
問題はこれは最終的には物価の下押し要因となるが、その価格押し上げが中央銀行の利下げを遅らせ、クライシスに繋がる可能性がある点である。しかしここで利下げを行えば更にインフレが加速する(価格上昇による消費抑制が機能しなくなる)ことで、先々の景気急減速のリスクを孕む点だ。
また、今回、米政権は銅に関しても50%の関税を8月1日から課すとした。これによりCME銅は急上昇しているがLME銅は逆に下落している。関税上げ前の駆け込みが「間に合わない」と判断されたためと考えられる。今後はCMEとLMEのスプレッドが50%で固まることが予想される。
海外からの調達比率が45%である銅と銅鉱石に50%の関税を課すのは、米製造業にとっては同調達コストがざっくり1.25倍に上昇すること意味している。海外調達を30%に引き下げる戦略と説明されているが、その移行期間の負担は重い。
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