関税交渉難航を受けたリスク回避で軟調
- MRA商品市場レポート
2025年7月7日 第3011号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「関税交渉難航を受けたリスク回避で軟調」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はその他農産品の一角や貴金属を除き、総じて軟調な推移となった。米国主要市場が休場であるため基本、動意は薄いのだが、米国との関税交渉の期限が迫る中、交渉が難航していることが市場参加者のリスク回避姿勢を強めた事が材料となり、水準を切り下げた。
非鉄金属などは関税交渉を楽観視したことや、ドル安が進行していたこと、関税引き上げ前の駆け込み輸出需要の発生が価格を押し上げていたが、さすがに昨日は売られる形となった。
エネルギーはBrent、WTIとも水準を切り下げた。OPECプラスの追加増産観測はあるが、それ以上にリスク回避の株安が価格を押し下げたと考えられる。
今後、商品市場を含む金融市場は米国との関税交渉動向に、より神経質にならざるを得ない。我が日本は報道ベースでは全く交渉が上手くいっていないように見えるが、昨日、インドが米国の自動車関税に反発、同額規模の報復関税を課す方針を示しており、カナダも鉄鋼・アルミに関して報復関税を課す意向を示唆している。
これらを受けてトランプ大統領は「70%の関税だ!」と言っているが、もしそうすればさすがに価格転嫁せざるを得なくなる。貿易額を元にした2024年の財の貿易総額は5.4兆ドル、輸入総額が3.3兆ドルであるため海外調達比率は61.1%となる。即ち、この金額に関税が課されることになる。
米製造業の営業利益は5%~10%程度であるため価格転嫁をしないわけにはいかず、国民負担が増え、特に今回、米政権が選挙で意識した低所得者層への影響が小さくない。改めて無理のある政策であることが分かる。
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