米雇用統計を受けた金融緩和観測後退で総じて軟調
- MRA商品市場レポート
2025年7月4日 第3010号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米雇用統計を受けた金融緩和観測後退で総じて軟調」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はその他農産品や穀物などの、非景気循環系商品が物色され、その他の商品は総じて軟調な推移となった。昨日の雇用統計、ISM非製造業指数が良好な内容だったことから、FRBの7月利下げの可能性がほぼなくなった、と市場参加者が判断、ドル高が進行、実質金利も上昇したことが広くドル建てインフレ資産価格の下押し要因となった。
エネルギーに関しては、米・イランの核交渉が再開されるとの報道が価格を下押しし、実質金利押し上げに寄与している。ただどのような交渉内容になるかはまだなんとも言えない。
ただ、昨日の雇用統計はヘッドラインは非常に強い内容であるものの、内容を詳しく見るとそれほど強い内容だったとも言い難い。特に今回の非農業部門雇用者数の増加の大半は公的セクターの雇用者数増加(前月比+7.3万人)によるものであり、全体の雇用者増加への寄与度は49.7%に達している。
恐らくDOGEで解雇された政府職員が、地方・州政府で再雇用されたものと考えられ、かなり特殊需要だったと言える。来月の統計を待つ必要があるが恐らくこの動きは一時的なものと見られ、持続はしないだろう。
また、失業率が低下しているが、昨日の統計では就労者数が前月比+9.2万人、失業者数が▲22.2万人減少しており、労働人口は▲13万人の減少となっている。これに伴い労働参加率は低下しており、「職を諦めた人」の数が増加(失業者の減少が雇用で吸収されたわけではない)した影響が大きいと考えられる。
※失業率=失業者数÷(失業者数+就労者数)
また、人種別の雇用を見ると移民の雇用者数が▲34.8万人減少する一方、米国民の雇用が+83万人と増加している。これはトランプ政権の移民強制送還の影響によるものだろう。
足元、雇用関連統計は景気循環銘柄(特に米統計の場合はエネルギー)の需要動向の指標となり価格に影響を及ぼすが、足元、価格への影響は需給ファンダメンタルズ以上に米金融政策動向の影響が大きい為、昨日は売り材料となったようだ。
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