米・ベトナム関税合意でリスク選好・上昇
- MRA商品市場レポート
2025年7月3日 第3009号(簡易版)商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米・ベトナム関税合意でリスク選好・上昇」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はその他農産品を除いて大幅に水準を切り上げた。米国とベトナムが関税交渉で合意に至り、今後も関税交渉で妥結する国が増えるとの見方が市場の楽観を誘い、株高が進行したことが広くリスク資産価格を押し上げる形となった。
英国債が暴落し、英国市場がトリプル安となる中では安全資産としてドルが買われて上昇したが、ADP雇用統計が2023年3月以来、初めて前月比マイナスの▲3.3万人となったことでドルが売られる流れとなり、結果的にこのこともドル建て資産価格の押し上げ要因となった。
(やや昨日のコメントと被る内容になるが)足元、雇用関連統計の解釈は難しく、JOLTSなどの統計を見ると求人数は増えているが、昨日のADP雇用統計では雇用者数が減少している。一方で失業者も増加し、自発的離職者数も増加している状況。
結局、米政権の移民強制送還が宿泊・飲食サービスなどの労働力を削ぎ、それを埋め合わせるための求人需要はあるものの、恐らくその受け皿となり得る白人労働者のニーズが合わない事態が発生していると見られる。
結果、求人のための賃金は上がるため、自発的離職者数も増えている状況。
一方、関税強化の方針で仕入れコストが上昇、販売価格への転嫁が困難な業種は雇用の下押し圧力がかかっている。具体的には卸売・小売業がこれに該当するが、これも米政権の政策の影響によるものである。
このように強弱まちまちとなっている米雇用関連統計であるが、新規失業保険申請件数をみるに総じて米国の景気は減速している可能性が高く、早晩利下げの必要性が出てくるのは間違いが無いが関税政策の影響がFRBを慎重にさせているため、ビハインド・ザ・カーブとなるリスクは残る。
とはいえ、関税交渉の進捗は景気の下振れリスクをある程度緩和するため、年後半にかけて軟着陸が希望的観測も含めたメインシナリオではある。
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