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リスク選好回復で景気循環系商品買われる
  • MRA商品市場レポート

2025年6月26日 第3004号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「リスク選好回復で景気循環系商品買われる」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は自国通貨建て商品や農産品セクター、エネルギーセクターの一角が軟調な推移となったが、金属や原油などの景気循環系商品は物色された。

中東情勢が一巡(中東情勢の詳細に関しては、本日の有料レポートのMRA's Eyeをご参照下さい)、エネルギー供給ヘの不安が後退したことが市場参加者のリスク選好を回復させていること、ドル安進行が総じて価格を押し上げているが、景気に連動しない農産品セクターは、景気ヘの懸念がやや緩和する中では物色対象から外されるようであり、総じて水準を切り下げている。

取りあえず、原油供給への懸念が後退したことで市場の注目は再び米政策動向に移ることになる。目先、最も注目されるのが米関税交渉の期限である7月9日以降に、日本や欧州を含む各国に対して、4月2日の解放の日に示した関税の適用が開始されるか否かだ。

今のところ交渉を行っている、あるいは一方的に米国が手応えを感じている国を除けば一方的に関税の水準が通達されるようだ。日本と交渉が継続していることを示唆する発言を、ベッセント財務長官やラトニック商務長官は発言しているが本当にどの程度何が進んでいるかは当然公表されていない。

最大の同盟国の1つである日本との交渉をここで打ち切るとは思えないため、現在の報道をみるにまたしばらく交渉期間は延長されるのではないか。ただ、よく分からないのは対EUの動向だ。

2025年5月26日のレポートで詳述している蛾、EUの意識決定プロセスが非常に時間が掛かる仕組みになっていることが無視できない。そのプロセス自体の説明も複雑なのだが簡単に説明すると

・EUと米国の関税交渉はEU委員会が権限を持つ(通商担当委員)
・EU委員会が政策を提案する
・EUの提案を加盟国が審議(55%以上の加盟国(15ヵ国以上)、かつ、EUの人口の65%以上の国の賛成が必要)
・ただし通商問題などの重要な議案の場合、全会一致が条件
・決定した場合加盟国は議案を国に持ち帰り実施(関税問題はEU委員会の専属権限であるため国内での審議はない)

という形になる。そのため自然体でも時間が掛かり、過去、ユーロ危機などの際も最終決定までに時間が掛かった。


本日の見通し、昨日のセクター別動向と本日の見通し、マクロ見通しのリスクシナリオ、本日のMRA's Eye、主要ニュース/エネルギー・メタル関連ニュース/主要商品騰落率/主要指数/市場の詳細データPDFは、有料版「MRA商品市場レポート」にてご確認いただけます。
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