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イ・イ戦争停戦?でエネルギー続落 株は堅調
  • MRA商品市場レポート

2025年6月25日 第3003号(簡易版)商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「イ・イ戦争停戦?でエネルギー続落 株は堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はエネルギーが下落したが、その他の商品は小幅に水準を切り上げた商品が目立った。

イスラエルとイランの停戦が合意に至り、ホルムズ海峡の封鎖もその可能性が大幅に低下したことでリスク選好が回復、株価の上昇どドル安が材料となった。

しかし、CNNやNYTの報じるところでは今回のミッドナイトハンマー作戦は失敗で、イランの核開発を阻止できていないようであり、核施設は破壊されず出入り口が損傷した程度らしいとしている。

今回、結果的にかなり上手く米国が立ち回ったように見えたが、上記のとおり「失敗」と考えているのか、停戦合意後にイラン側から停戦合意を破り、イスラエルに対して攻撃が行われ(イランはこれを否定)、イスラエルはこれに対して停戦合意違反としてテヘランの政権中枢への苛烈な反撃を指示した。

今回イランは米国に対して抑制的な対応を行い、イランの政権転覆に繋がるようなホルムズ海峡の封鎖の意図はないことを示し、原油価格が急落していた。そして最も好戦的なはずのネタニヤフ首相も停戦を認めたため、これで打ち止めとなり、生産が停止していたガス生産も回復し、ガス価格にも大きな影響が出ていた所だった。

しかし、イラン・イスラエルの戦闘が今後も仮に継続する場合、ガスの重要な生産国となったイスラエルのガス生産が停止する可能性はあり、ガス需給のタイト化で価格が再び上昇する可能性が出てくる。

今回の一連の事態で理解ができないのが、「イラン側から攻撃を行った」と報じられていることだ。先日のレポートでもコメントしているが、イランのミサイルの残弾が1,000発程度、1日20発程度使っている現状を勘案すると2ヵ月程度しか空中戦は継続できない。

それにもかかわらず戦闘を開始するということは、1.イスラエルを滅する自信がある、2.ハメネイ体制の転覆を狙う「イラン内部の反乱」でミサイル攻撃が行われた、3.実はイランはイスラエルにミサイルを射っておらず、今回の停戦に満足していないハメネイが工作した、ぐらいしか理由が見当たらない。

とにかく、当面、ホルムズ海峡の封鎖はないものの、イスラエルとイランのミサイルの撃ち合いは継続し、仮にこの空爆の中でイランの指導者に死亡者が発生した場合、体制が転覆して域内が不安定化して、原油価格が高騰する可能性も残ることになる。

上記3.のネタニヤフがイランの政権転覆を狙っているのならば、今回その可能性が大きく低下したホルムズ海峡の封鎖を、滅亡覚悟で選択するシナリオの可能性も残ることになる。

この場合、ホルムズ海峡を通過する原油2,000万バレル、LNG 2億9,120万立法メートル/日の供給に影響が及ぶことになるが、2,000万バレルは需要の20%、2億9,120万立法メートル(カタールのLNG輸出量と同じ)も20%に相当するため、非常に大きな影響が出ることになる。


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