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中東有事拡大懸念後退でエネルギー下落
  • MRA商品市場レポート

2025年6月24日 第3002号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「中東有事拡大懸念後退でエネルギー下落」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はエネルギーが大幅に下落したが、その他の商品は水準を切り上げた。

イランがカタールにある米軍基地を攻撃、被害は出ず、事前にイランから米国に対して攻撃の連絡があったことで「イランは政権崩壊が前提となる、ホルムズ海峡の封鎖を選択せず、形式的に米軍に攻撃することで幕引きを図っている」との見方が強まったことが、ホルムズ海峡封鎖を意識して水準を切り上げていた原油価格を大きく押し下げ、リスク回避的な動きが強まっていた市場参加者に楽観をもたらしたことが背景。

そして日本時間の早朝、トランプ大統領はイランとイスラエルが停戦で正式に合意したと発言しており(停戦開始は日本時間の9:30からとされる)、それが事実であれば中東の問題は6月13日の前の状態に戻った形となる。

結局、イスラエルは、1.イランの核開発抑制、2.イランの完全な核放棄、3.政権転覆、と考えられるが恐らく3.までを視野に入れていたのだろう。

イスラエルにとっては最悪、1.が達成できればそれでよしとしていた可能性はあり、一応目的は達成したとの判断だろう。今後、米国が核交渉で2.を達成できるかが次の焦点となる。

仮に、今回の一連の攻撃の挑発に乗ってイランがホルムズ海峡を封鎖すれば3.の目的まで突き進むことになるため、そうなればイスラエルの思うつぼと判断、今回は極めて自制を効かせた反撃に留めたようだ。

米国からすれば、イランと交渉しようとしているのに、なんてことをしてくれたんだ、という思いだろう。しかし、イスラエルに協力せざるを得ないためバンカーバスターで核施設を攻撃(ただし一部報道では「これ以上の攻撃はしない、1回切りだ」とイランに連絡していたともされる)し、当面核開発ができないようにしてイスラエルを納得させた。

次いでイランに対しては、原油価格高騰で世界経済が混乱することを回避するために、米軍基地を攻撃させてイランの体制側のメンツを保つ、という形を取ったものと考えられる。

かなり拙速にトランプ大統領がイランに対して攻撃を行ったように見えたが、かなり計算尽くの対応でイランがこれに応えたという形だろうか。

イランもカタールを通じて停戦に合意したと発表しているが、CNNなどは「そのような合意はない」とするイラン高官の発言も報道しており情報が錯綜している。

さらに、イスラエルはテヘランを空爆しており、停戦している感じはない。トランプ大統領の発言後6時間後に停戦が発動するため、「停戦間際の駆け込み攻撃」だったのかもしれない。


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