週末を控えた調整売りで総じて軟調
- MRA商品市場レポート
2025年6月23日 第3001号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「週末を控えた調整売りで総じて軟調」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はエネルギーが下落、その他の商品も下落したものが目立った。米国がイランに対して「2週間以内に結論を出す」としたことで一昨日は戦闘が近いか、と見られたがその後のイラン アラグチ外相の欧州諸国との会合などをみるにまだ交渉の余地があると昨日は見られ、エネルギー価格を押し下げた。
しかし、前日は同じ材料で上昇していたため、週末を控えてロング筋がポジション解消の売りを入れたと考える方が適切かもしれない。完全解決まではエネルギー価格は高止まりしやすい。
一方、株価も調整したこと、ドル高が小幅に進行したことがドル建て資産価格を下押ししている。
市場はイラン・イスラエル情勢がどのような決着を見るかが分らないため、方向感が出難い状態が続いている。しかし結果を先取りしやすい株式市場は「ホルムズ海峡の封鎖はない」として元の材料(米関税交渉や景気そのもの)に着目し始めている。
戦局を見通すのは難しいが、報道が正しければイランの制空権はイスラエルに取られたというのが正しいだろうか。今後は、1.停戦、2.イランが降伏、3.内部崩壊でイランの政権転覆、4.小康状態が続いて小規模な戦闘が散発的に続く、5.米軍が攻撃を行いイランが報復、ホルムズ海峡が一時的・部分的に閉鎖されるといった展開が予想される。
まず、トランプ政権もネタニヤフが保身の意味もあって開始した戦争に米国の資源や戦力を投入することに、MAGAのメンバーが不満を表明しているため、米国は参戦したくはない可能性は高い。
そのため、1.は「ない」とトランプ大統領が発言しているが、2週間の期限を設けたことは、「核を放棄する」とすればそれをどうやって担保するかは分からないが、トランプ大統領が停戦に応じる可能性は高いと考える。
2.は「ない」とハメネイ師が発言しており、その可能性はなく、3.についてもイスラエルの攻撃で民間人が多数殺害されている以上、「米国の言うことを聞いて政権を崩壊させる意味があるのか」と反イスラエル・反米感情が高まっているため可能性は低い。そもそも受け皿となる後継政府組織が存在しない。
4.の可能性もなくはないが、イランの残りの弾薬の規模を考えると継続は難しい。報道ベースではイランの長距離ミサイルの残弾は1,000発程度あり、イランの長距離ミサイル製造能力は月産50発程度、現在は設備の毀損や制裁などで半分程度に低下していると予想される。
現在、ミサイルはこれまでの実績を元にすると1日平均20発程度であり、ミサイルの製造能力が全く毀損していないとして1日2発程度。55日で弾切れとなる。6週間程度で弾切れとなり、終戦、という主張はこのあたりの計算から出てきていると考えられる。
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