FOMCを受けて調整売りに押される エネルギーは高値維持
- MRA商品市場レポート
2025年6月19日 第2999号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「FOMCを受けて調整売りに押される エネルギーは高値維持」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は米天然ガスや石油製品、穀物セクターが堅調だったが、その他はポジション調整的な取引が主体で、米国時間後半に掛けて水準を切り下げた商品が目立った。
昨日開催のFOMCは予想通り政策の変更はなく、FOMCメンバーの利下げ見通しも2回で据え置かれた。
しかし、ドット・チャートを細かく見ると、政策金利据え置きを予想するメンバーが増加しており、関税の影響でインフレを懸念しているメンバーがそれなりにいたことも事実でありメンバー内でも意見が分かれている。
ただし、GDP成長見通しは基本的に下方修正され、物価見通しは上方修正されており、「景気後退はしないものの、関税が成長を阻害し、物価は高く、政策金利も想定よりも引き下げられない」という判断であろう。
結果、需要が弱かったとしても商品価格は水準を切り上げる可能性がある、ということである。米政権の政策の影響といえる。米政策と言えば、イラン・イスラエル問題で、米大統領がイラン攻撃を承認したと報じられた。
なお、「攻撃命令」ではなく、核協議が不冴えに終わった場合の最終手段として承認したということであり、攻撃が始まるわけではない。
恐らく今回のトランプ大統領の変心は、イランが制空権を失い、戦況がイスラエルに有利であることが分かったため、イラン問題沈静化は「自分の成果である」とするため、急にイラン攻撃に傾いたと言える。
言葉を換えれば「そういう大統領である」と見越して動いたイスラエルの勝利とも言える。今後の展開はイランがどう出るかによるが、報道通りであればかなりイランは追い詰められているようだ。
しかし、展開によっては原油供給が減少して価格が上がったり、場合によって途絶してしまうリスクも全くゼロとは言い切れない状態になったことも事実である。
この数日、日本への影響に関してコメントしているが、エネルギー価格変動(日本のような消費国の場合、上昇)リスクは影響が多岐にわたるため簡単に説明仕切れるものでもない。
原油と一口に言ってもその価格を基準にガスや電気の価格も決まる。このことは製造業のみならず、サービス業も価格変動の影響を受け、さらには家計部門の消費行動や生活にも大きな影響を及ぼすことを意味している。
このコラムでも何回か説明しているが、ざっくり、現在の日本の全産業の売上高に対するエネルギー(電気、ガス、石油製品などの合計)の比率は8~10%程度まで上昇していると考えられる。
結果、ドル建て価格の上昇や円安進行は、「そのコスト上昇分を価格転嫁できないならば」減益要因となるし、個人の場合は可処分所得に占めるエネルギーコストが上昇するため、個人消費に影響が出ることになる。
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