中東情勢悪化懸念でエネルギー・貴金属上昇
- MRA商品市場レポート
2025年6月18日 第2998号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「中東情勢悪化懸念でエネルギー・貴金属上昇」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はエネルギーと貴金属、穀物が上昇、その他の商品は軒並み水準を切り下げた。米国がイラン・イスラエルの戦争に参加するのではとの見方が広がり、ペルシャ湾でも原因不明のタンカー衝突事故が起きるなど、アラビア半島周辺の状況が悪化している、との見方がエネルギー供給不安を高める一方で、有事のドル買いが発生したことが、広くドル建て資産価格の下押し要因となった。
また昨日に関しては米国株が下落、このこともリスク資産価格を下押しした。
昨日、トランプ大統領はG7から緊急帰国、トランプ大統領がSNSでイランに無条件降伏を要求する発言をしたことで、「交渉がまとまらなければ米国がイランを攻撃する」との見方は強まっている。
ただし、ハメネイ師を殺害することは検討していないとし、あくまで米国は体制転覆というよりは核を放棄するか、それがなければバンカーバスターで核施設を破壊する、というつもりのようだ。
しかし、ネタニヤフは内部放棄を促す映像を流しており、当事者のイスラエルはかなり明確に体制転覆を企図している可能性は極めて高い。ネタニヤフ自身も議会解散を突きつけられており、自身の収賄の疑惑もある為、支持率回復の意図もあるのだろう。
とはいえ、イランがフーシ派やヒズボラを使い、「イスラエルを地図上から抹消する」として対立してきたこともまた動かし難い事実であり、G7がイスラエルに自衛を認めるのは筋が通っている(しかし今回はイスラエルから攻撃を仕掛けているため、自衛とは言えない)。
結果、毎回議論されるホルムズ海峡封鎖の可能性は考えざるを得ない状況になってしまったと言える。昨日のコメントを以下に再掲するが、この場合、日本ヘの影響は小さくない。
今年の夏、北半球は各地で猛暑が見込まれており、給湯需要の減少は期待できるものの、冷房向けの需要が増加する見通しであり夏場の電力価格の押し上げ要因となり得る。
日本の電力料金は、1.これまでの燃調ベース、2.市場連動(JEPX)、3.1・2のミックス(注:電力会社によってはオプションなどを組込見、JEPXベースでレンジや上限が設定されるなどの価格体系も存在)、の3種類であるが、2.の場合はスポットガス価格の影響を受けるため、中東情勢がある中では、今年の冬場や夏場の価格上昇はリスクとなる。
なお、ガス価格は引き続き、過去の原油価格ベースであるため、影響が出るのは半年後でありかつ、緩やかなものとなる。
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