中東情勢を楽観 リスクテイク回復
- MRA商品市場レポート
2025年6月17日 第2997号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「中東情勢を楽観 リスクテイク回復」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は原油価格が下落したが、その他の商品は水準を切り上げるものが目立った。イランとイスラエルの戦闘は週末を挟んで激化したが、イランが周辺諸国に停戦仲介を要請している、との報道を受けて停戦は近いとの楽観が広がったことが、エネルギー供給に「直接」関係ない商品価格を押し上げる形となった。
中国の重要統計も発表になり、工業関連統計が悪化、個人消費関連統計は堅調だったが不動産統計は悪化しており、総じて良い内容とは言えなかったがほとんど材料視されていない。
原油価格はショートの買い戻し一巡で下落しているのはこれまでの有事発生と同様の反応。しかし、イスラエルがイランのエネルギー施設を攻撃、イランの国力を削ぐ方向に戦略を転換している(恐らく核関連施設の破壊は失敗したとみられ、戦略をイランの内部崩壊に切り替えた)可能性がある。
結果、原油価格はイランからの原油輸出が停止、OPECプラスがそれに対して増産を行わない前提の水準で高値を維持しており、決して足元の状況が楽観できる訳ではないことを示唆している。
また、今回の一連の攻撃でイスラエルのガス供給が停止しており、LNGカーゴ需給のタイト化要因となっている。
今年の夏、北半球は各地で猛暑が見込まれており、給湯需要の減少は期待できるものの、冷房向けの需要が増加する見通しであり夏場の電力価格の押し上げ要因となり得る。
日本の電力料金は、1.これまでの燃調ベース、2.市場連動(JEPX)、3.1・2のミックス(注:電力会社によってはオプションなどを組込見、JEPXベースでレンジや上限が設定されるなどの価格体系も存在)、の3種類であるが、2.の場合はスポットガス価格の影響を受けるため、中東情勢がある中では、今年の冬場や夏場の価格上昇はリスクとなるだろう。
なお、ガス価格は引き続き、過去の原油価格ベースであるため、影響が出るのは半年後でありかつ、緩やかなものとなる。
報道を信じるのであれば、比較的短期にこの軍事衝突は終了することになるが、仮に長期化した場合の影響は小さくない。
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