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米中合意・中東不安・CPI軟化でまちまち
  • MRA商品市場レポート

2025年6月12日 第2994号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米中合意・中東不安・CPI軟化でまちまち」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はまちまち。最も上昇したのが原油でを含むエネルギーセクターで、工業金属セクターやその他農産品、穀物セクターは下落した商品が目立った。米中協議、米CPI、中東情勢などの複数の要因をこなす動き。

まず最も上昇した原油に関しては、米政府がイラクの米大使館職員に退避を命じたとの報道を受けて、ショート筋が瞬間的に反応したと考えられる。

実際、トランプ大統領はイランとの交渉に「自身を失いつつある」と発言しており、宇露情勢も含めて大統領就任前の勢いはなくなっている。基本的には戦争が好きな大統領ではないが、その可能性を意識し始めている可能性が高い。

仮に攻撃があるとした場合、イスラエルが何か行動を起こす可能性が高い。トランプ大統領はイスラエルに対して「軍事行動反対」と明確に要求しているが、米国はそれをサポートせざるを得ない、という立ち位置になるのではないか。

なお、ネタニヤフ連立政権は、ガザの戦闘が長引く中でその負担が予備役に重くのしかかっていることから、「ユダヤ教の戒律を厳格に守る超正統派男子の兵役免除」と「打ち切る」方針であるがこれを超正統派を支持する第2党が不満とし、連立を離脱することを発表した。

これを受けて、イスラエルの野党連合は議会解散法案を提出、成立には4度の可決が必要になるが、数週間から数ヵ月かかる見込み。

ネタニヤフ政権が崩壊すればガザやイランヘの攻撃リスクも低下すると期待されるものの、過去、このような窮地にイランや武装勢力ヘの攻撃を行って「治安が良くなった」として支持率を回復させる手法を取ってきたことも否定できず、イランとの核合意が上手くいかなければそのシナリオも荒唐無稽とは言えない。

中東情勢がイランを含めて悪化すれば、ペルシャ湾の船舶航行に支障が出ることはほぼ間違いが無く、少なくともショートは取り難くなる。

これに加えて需要面では、米中合意が意識された。報道では、中国に対する関税は基準の10%、第一次政権で課した25%、これにフェンタニルに対する制裁で20%、合計55%の関税が残り、中国は米国に対して10%の関税。

そして米国は中国に対する半導体関連の制裁緩和と引き換えに、レアアース調達を再開するとした。しかし、関税は掛かっているが、中国はレアアースを交渉材料に半導体制裁緩和を勝ち取ったため、55%関税は結局米国民・米企業の負担になる以上、この「直接対決」は中国の勝ちだった、という結論になろうか。


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