米中協議動向 米CPIを控えて調整取引主体
- MRA商品市場レポート
2025年6月11日 第2993号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米中協議動向 米CPIを控えて調整取引主体」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はその他農産品が売られ、エネルギーや貴金属セクターも水準を切り下げたが、穀物や株、債券などは水準を切り上げる商品が目立った。
特段材料があったというよりは、現在進行形の米中通商協議の結果待ちと、後は今晩発表される米CPIの状況を見極めたいとし、ポジション調整の取引が主体だったと考えられる。
ただし、米国の関税問題は出だしはかなり高い球が投げられたが、徐々に現実路線に着地する方向に舵が切り直されている。やはり市場を壊すことはしたくないというのが本音だろう。
今回の一連の米国の政策を俯瞰して見てみると、第一次トランプ政権の時と類似した政策を施行しているがより経済政策に舵を切っている感は否めない。
第一次トランプ政権のときは、「同盟国と連携して軍事の負担を行い、経済的にも中国を連携して包囲して行く」というスタンスだった。しかしこの間に中国はその他の国を迂回して輸出し、外貨を稼ぐという方法を採択したため、これに網を掛けるためには全世界的に関税率を引き上げ無ければならない、という結論に達したとみられる。
そしてそれは経済的な負担をそれらの国に負わせることになるため、軍事的に連携して中国を抑え込もうという説明が通り難い(関税が課される上に、軍事負担も米国から独立して重くなるのか、となる可能性が高く、米国も二兎を追えない)と判断したか、連携して中国を包囲することに関しては取りあえず優先順位が下げられた可能性がある。
台湾に対して軍備の提供も含めた対応を行っていた第一次政権のときと異なり、中国が進行してきた場合は関税を150%~200%課すことで対応する、と発言しており軍事的なサポートにはさほど積極的ではない。
これは宇露情勢に関しても同様であり、経済的に圧力を掛けることを念頭に置いている。恐らくトランプ大統領は本当に戦争は選択したくないのだろう。
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