米統計悪化を受けた利下げ期待・ドル安・株高が価格を押し上げ エネルギーは下落
- MRA商品市場レポート
2025年6月5日 第2989号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米統計悪化を受けた利下げ期待・ドル安・株高が価格を押し上げ エネルギーは下落」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はエネルギー価格が下落したが、工業金属などの金属セクター、穀物などの農産品セクターは水準を切り上げた商品が目立った。
注目の米ADP雇用統計の悪化や、ISM非製造業景気指数の悪化を受けて「トランプ関税の影響が強まった」とし、利下げ観測を背景にドル安が進行、株が上昇したことがこれらの商品を押し上げた。
一方、エネルギーは最大消費国である米国の景況感の影響が大きいため、下落している。
昨日発表の米ISM非製造業指数は49.9(市場予想 52.0、前月 51.6)と大幅に悪化し、閾値の50を下回った。主要項目を見ると仕入価格が68.7(65.1、65.1)と急上昇、新規受注は46.4(51.6、52.3)と急減速。
在庫の前月比変化は49.7(53.4)、在庫絶対水準は62.9(56.1)と増加している。
これらを総合すると、「トランプ関税の影響を回避するため仕入れを急ぎ、在庫が積み上がったが今月はその在庫を取り崩して対応。一方、関税の影響による値上げ前の駆け込み需要が剥落、そして実際に価格は上昇を始めた」という感じであり、トランプ関税の影響が出ていることが浮き彫りになっている。
なお、ISM非製造業景気指数に含まれる業種はサービス業であり、小売業や宿泊・飲食サービス、情報サービス、運輸・倉庫あたりであるが、不動産業も含まれる。不動産は関連する「モノ」を扱う業種も多く、GDPヘの寄与が大きい業種である。
なおISM非製造業指数の雇用指数は50.7(49.0、49.0)と改善しているため、まだ雇用市場の悪化には繋がっていないようだが、ADP雇用統計が+37千人(市場予想+114千人、前月+60千人)と低迷したため、先行きの雇用環境も微妙な状況が続く。
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