株高・ドル高で高安まちまち
- MRA商品市場レポート
2025年5月15日 第2974号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「株高・ドル高で高安まちまち」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は高安まちまちとなった。ベッセント財務長官が貿易交渉でドルの水準を織り込まないとの関係者コメントを受けて、米国が長期的な強いドル志向であるとの味方がドル高を誘発しており、それに伴い、ドル建て資産価格は広く下押し圧力が掛かる展開となった。
一方、中東を歴訪しているトランプ大統領は産油国と次々とディールを決めており、かつ、中東の地政学的リスクが(イスラエルを除いて)低下していることを材料にした株高が、広く景気循環系商品価格を押し上げる流れとなった。
特に、供給面に大きな改善が見られていない非鉄金属は欧州や中国の公的資金による需要増加の可能性が高い事から、これまで売ってきた投機筋が買い戻しを入れる流れになっており、ファイナンシャルな面で価格水準を切り上げている。
一方、「米国内では掘って掘って掘りまくれない」ことを漸く認めたか、OPECプラスに増産をトランプ大統領が要請しており、OPECプラスも抜け駆け増産を行っている国(カザフスタンなど)に圧力を掛ける目的で増産ペースを早めているため、原油の見通しは弱気でありこちらは景気循環系商品ではあるが調整圧力が強まった。
安全資産として人気を高めていた金は、米国の「利息や配当が付く資産」が買いやすい状態に戻ったことで利益確定の売りに押されている状況。
とはいえ、別に米国は関税を撤廃するといっている訳ではなく、関税が導入(結局、米国人にとっては消費増税とほぼ同義)されることは決定事項であり、自動車や部品、鉄鋼アルミ、さらには銅には個別に関税が課される方針も変わっていないため、やはり景気の見通しは基本的には下向きのバイアスがかかりやすい。
その一方で、インフレ圧力がコストプッシュ型で高まる可能性は高く、米FRBも利下げを急ぐことが難しいことから、「不慮のクラッシュ」リスクは残る状態。
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