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弱めの米CPIを受けた金利低下・株高で堅調
  • MRA商品市場レポート

2025年5月14日 第2973号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「弱めの米CPIを受けた金利低下・株高で堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は軒並み水準を切り上げる商品が目立った。注目の米CPIが市場予想ほど強い内容ではなかったため、年内2回の米利下げに変更はないとの見方が長期金利を押し下げ、米ハイテク関連株の上昇に繋がり、総じてリスク資産価格の上昇要因となった。

昨日、原油や非鉄金属はほぼ米株(ハイテク株)をフォローする形で上昇しており、4月2日の解放の日以降の大混乱から株式市場が立ち直る中、恐らく投機の買い戻しが入ったと考えられる。

ただ、勘違いしないようにするべきは、米政権は関税を撤廃するとは言っておらず、関税交渉が妥結しても関税は残り、モノのフローに大きな影響を与え「経済成長ペース鈍化の中での、物価高止まり」は続く可能性が高い点である。

昨日のCPIを受けて米大統領はすかさずFRBに利下げを強要する発言をしているが、細かく見ると米スーパーコア(住宅を除くサービス)は前月の前月比▲0.2%から+0.2%に転じており、トランプ関税が影響していることを示唆している。

このままであれば米国は、コストプッシュ方のインフレとなる可能性がある。この局面で金融緩和を行えば、輸入物価も上昇して物価上昇に拍車が掛かることになる。そのため各国中央銀行とも積極的に動けていない、というのが現状だ。

日本の貿易交渉は、同盟国であるため恐らく早晩妥結するのは規定路線であるが、日本が望む自動車・部品関税撤廃はこれまでの報道と米国の対応をみるに難しいといえる(自動車・鉄鋼・アルミで米国と妥結した英国の輸出規模とは比較にならない)。

やはり、関税の影響が残ること、トランプ関税が持ち出されたことでこの半年近く企業は様々なシナリオを想定する必要があるものの、決断をできる様な状況にないことから、景気は低迷するというのがメインシナリオとなる。


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