ベッセント発言でリスク選好回復・上昇
- MRA商品市場レポート
2025年4月23日 第2957号(簡易版)商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「ベッセント発言でリスク選好回復・上昇」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は軒並み水準を切り上げる商品が目立った。ベッセント財務長官が中国との関税問題に関して、持続可能ではなく緩和する方向性にあることを示したことで、景気の先行きへの懸念がやや後退、リスク選好が回復したことが影響した。
ただ、米政権の関税その他の政策に関する発言は人が変わったり、日が変わったりすると全くニュアンスの違う話になることも多く、市場参加者は積極的に長期のポジションを取れる状況にはない。
昨日IMFの経済見通しが発表されたがロシアなどの一部の国を除けばほぼ全ての地区の景気見通しが大幅に下方修正された(詳しくは有料レポートの昨日のニュース欄参照)。
引き下げの理由は分かりやすく、米国が世界的に関税を課したことによる貿易フローの減少である。世界のGDP成長は2025年が2.8%、2026年が3%が予想されている。3%はベースとなる経済成長率であるため、2025年は実質マイナス成長となる。
米国も2025年が1.4%と1月見通しから▲0.9%引き下げられた。ここまで経済成長を放棄して得られるものは、一部の製造業が米国にシフトすることだが、労働者の質、コストを考えるととても米国で製造業がやっていけるとは思えない。
イーロン・マスクがなぜ米国の自動車産業が衰退したかがXで拡散されているが、「ボートレースに例えると日本の自動車会社は舵手が1人漕ぎ手が8人だが、米国は舵手が8人漕ぎ手が1人だ。みんな上に立ちたいから」
「そして、試合に負けると米国は漕ぎ手をクビにする。勝てるはずがない(笑)」という話。
こうした土壌で海外にシフトした製造業が戻ってきても機能するかは疑わしい。もちろん、中国に取られたサプライチェーン覇権を取り戻す、という国家安全保障に関わる面では意味がある政策、と言えなくもないがやり方があまりにも拙速過ぎるのは否めない。
話を戻すと、IMFの見通しは米中相互関税を織り込んでいないため、更に見通しは下方修正されるとみておいた方が良い状況。