軒並み下落 米国のトルコ化
- MRA商品市場レポート
2025年4月22日 第2956号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「軒並み下落 米国のトルコ化」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は欧州市場がイースターで休場だったが、またしてもトランプ大統領の発言が米国の信用を落とし、市場参加者のリスク回避の動きを強める形となった。
昨日上昇したのは究極の回避資産である金、その他ではココアや天然ゴム、ビットコインなど。その他は軒並み水準を切り下げている。
トランプ氏はパウエル議長を「負け犬」と言い放ち、直ちに利下げしろ、それができなければ解任すると伝えられた。インフレの懸念がある中で利下げを中央銀行総裁に強要し言うことを聞かなければ解任というニュースのヘッドラインをみて、トルコのニュースではないかと思ったら米国のニュースだった。
これまで、米経済を壊すことなく順調にインフレを修正してきた議長に対して発する言葉ではない。こうした感情論を抜きにしても、政権が金融政策に直接的に関与することは、米中央銀行の独立性を毀損し、その通貨の発行元の信頼低下はドルの下落に繋がる。どこかの国で見られ、かつ、今もみられている動きだ。
今回の一連の政策は、一部評価できる点もないではないが、余りに支払う代償が大きすぎる。
米国が慢性的な経常収支赤字になっているのは、米国内の消費と投資が旺盛だからであり、経常赤字ということはそれだけ米ドルが市場に流出、経常収支黒字の国(日本や中国)がこれを米国債という形で保有して米国に資金が還流する仕組みになっている。
インフレを抑えるなら、この借金で消費をするという米国の過剰な消費構造を修正する必要があり、そのための関税→インフレ→消費抑制、というのであればまだ納得がいく。どこかで誰かが手を入れなければならなかったこともまた事実ではある。借金で過剰に消費する構造もまた、持続可能ではないからだ。
しかし、上述の通り米国債の価値が毀損すれば保有者の損失に繋がり、設備投資やファイナンスなどにも大きな影響を及ぼすことが懸念され、景気が悪化するだけならよいがクラッシュした場合、結局金融緩和・財政出動・インフレ再燃、というオバマ・バイデン時代に起きたことと同じことが起きかねない。
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