関税一部解除で上昇する資産クラス目立つ
- MRA商品市場レポート
2025年4月15日 第2952号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「関税一部解除で上昇する資産クラス目立つ」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は軒並み価格水準を切り上げた商品が多かったが、引けに掛けては上げ幅を削るものが目立った。トランプ政権がスマホやパソコンなどに対して関税をゼロにすると週末発表したことを受けて株価が上昇、債券下落に関してもベッセント財務長官が行動することも可能、といった主旨の発言をしたことで、リスク選好が回復したことが材料。
しかし、トランプ政権は頑なに関税策を維持する見通しであり、米国の攻撃的・威圧的な政策が米ドル建て資産回避の動きを助長している状況に大きな変化はなく、引き続き金融市場・財市場とも混乱が続いている。
こうなることはある程度分かっていたことだが、今回の過度な関税や海外投資家の米国債保有に対する課税検討など、米国売りを加速させる政策を具申した米顧問の責任は重い。
このコラムでも何回か指摘しているが、そもそもQ125が景気の底であり、そこで何らかの政策のミスが発生した場合、景気が後退局面入りする可能性がある。
ところが今回は、米政府が率先して景気を後退させようとしているため、ある程度は想定されたが、想定を超えた。米景気や信用は揺らがない、と高を括った対応をしたツケだろう。
近年(2000年以降)では、金融当局が利下げのタイミングを見誤り、ビハインドザカーブとなって企業などの倒産が相次ぎ、国債の格下げや社債のデフォルトといった信用収縮を引き起こしている(ドットコムバブル、リーマン・ショック)。
コロナ・ショックはこれとは異なる経済活動の政府主導による強制停止であるためやや状況が異なる。
今回は結果的に米国債のクレジットリスクが意識されている状態であり、比較的安定していた米CDSは急騰している。ベッセント財務長官はこの状況を受けて、このままの状態が続けば国債を買い戻すことも可能といった主旨の発言をしているのは上記の通り。
しかし、米当局による国債の買い入れはまた先々の大きなリスクとなり得る。
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