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日米で金融政策決定会合~一時的ドル高円安リスクも流れは不変
  • MRA外国為替レポート

2025年3月17日号

◆先週の市場総括


先週は米国株が大幅安。週末にようやく大幅反発したがNYダウの週間の下落幅は▲1,300ドルを超えて2年ぶりの下げ幅となった。

週初にトランプ大統領が景気後退の可能性を明確に否定せず。ベッセント財務長官が株価下落を気にしていないと発言。引き続き関税強化と景気悪化懸念が重石となった。

ドル円相場は週初に146円台半ばに下落。ただその後は円売り戻しが入って149円台をつけるなどドル安円高は一服。週末は148円60銭台で引けた。ユーロ円相場も週初に一時159円を割ったがその後は一時162円台に乗せ円高は一服。引けは161円70銭。

ユーロドル相場は1.09手前を中心に底固く推移した。日本では日銀の利上げ前向き姿勢を織り込んで長期金利が上昇。しかし週後半に3月会合で利上げは見送りとの観測報道が相次ぎ円高に一定の歯止めとなった。

日経平均は米国株が大幅安となったものの相対的に堅調。米国株の急落を受けて週初に一時36,000円を割ったが底固く週末は37,000円の大台を回復した。

米国で発表されたCPIは総合指数が前年同月比+2.8%、コア指数が同+3.1%にそれぞれ前月から低下した。しかしミシガン大学調査の期待インフレ率は1年が4.9%、5年が3.9%と上昇。消費者態度指数は57.9と2022年11月以来の低水準に悪化した。

月曜日の東京市場では日経平均が反発。このところ下げが目立っていた値がさ半導体株に買い。自立反発狙いの押し目買いに支えられ一時+200円高。ただ米国株安や長期金利上昇が重石。引けは+141円高の37,028円。

日本国債10年債利回りは1.57%へ上昇。このところの国債入札が年度末を前に不調。日銀の利上げ積極姿勢に加え需給悪化も押し上げ要因となり金利上昇は止まらず。為替市場では引き続き円金利先高観を背景に円が堅調。

トランプ大統領が9日日曜日のインタビューで米国景気後退の可能性を排除しなかったことはドルの重石。ドル円相場は147円90銭で始まり午前中に10銭へ下落。その後は戻して夕刻にかけては147円50銭~80銭で上下動。

欧州市場に入り米国市場朝方にかけて146円70銭台に下落した。米国市場では147円20銭に反発、146円60銭台へ急落と荒れ相場。終盤にかけては147円40銭に戻し引けは147円ちょうど近辺。

米国株は急落。トランプ大統領の発言を受けて景気後退への懸念が一段と強まった。関税強化によるインフレや個人消費低迷を厭わない姿勢と受け止められ、企業収益への逆風が強まるとの懸念が高まった。

中国は対米関税を引き上げ、農産物を中心に15%の追加関税を10日に発動すると発表した。カナダでは次期カーニー首相が対米対抗姿勢を明確に。

米国経済への悪影響懸念が広がった。NYダウは一時▲1,200ドル近く下落。引けは▲890ドル安の41,911ドル。ナスダックは▲727ドル安。4%の急落で引けは17,468ドル。VIX指数(通称恐怖指数)は27.86ポイントに上昇した。

米長期金利は低下。10年債は4.216%、2年債は3.887%。

ユーロドル相場は終始横ばい圏の値動き。東京市場では1.0840で始まりもみ合いのあと、欧州市場序盤に上下。高値は1.0870~80、安値は1.0810。その後は1.0820~40で推移して引けは1.0830台。

ユーロ円相場は東京市場では160円20銭で始まり159円80銭に下落して160円を中心に上下もみ合い。欧州市場では159円ちょうどに下落したあと160円に反発。その後は上値重く荒れ相場で158円90銭をつけて米国市場で下げ止まり。159円半ばでもみ合い引けは159円30銭近辺。

火曜日の東京市場では日経平均が反落。米景気懸念の広がりや米株安で朝方は一時前日比▲1,000円超下落し一時36,000円を割り込んだ。日本の10-12月期GDPが下方修正されたことも嫌気。ただその後は自律反発狙いの買いで持ち直し下げ幅を縮めた。長期金利低下、円高一服、も寄与。引けは▲235円安の36,793円。

ドル円相場は147円ちょうどで始まり朝方146円50銭台へ下落。しかしその後は反発して午後には147円40銭。日本10年債利回りが米長期金利低下に応じて低下し一時1.5%割れ。引けは1.505%に低下して円高が一服。

夕刻は146円80銭に反落したが米国市場にかけて147円70銭に上昇した。その後30銭台に反落したが底固く一時148円10銭まで上昇した。引けにかけては147円台後半で上下して引けは147円80銭。

ユーロは堅調。ユーロドル相場は1.0830台で始まり1.08台半ばで上下もみ合い横ばい。欧州市場に入ると1.0920へ上昇し1.09中心に上下して米国市場では1.0950手前まで上昇したあと引けにかけては反落して1.0920近辺。

ユーロ円相場は159円30銭台で始まり159円ちょうどに下落したが、午後から欧州市場にかけては上昇して160円台後半でもみ合い。米国市場では一段高となり161円70銭に上昇。ただその後は反落して160円台後半~161円台後半で大きく上下して引けは161円40銭。

米国株は下落。引き続き関税への懸念、景気悪化懸念が重石。米国とカナダの応酬が激しくなったあとひとまず落ち着いたものの不安感が残った。NYダウは▲478ドル安の41,433ドル、ナスダックは▲32ドル安の17,436ドル。VIX指数は26.92ポイントと高止まり。米長期金利は上昇。

10年債は4.281%、2年債は3.949%。発表された米国の雇用動態調査(JOLTS求人数、1月)は7,740千人と前月7,600千人から増加した。

水曜日の東京市場では日経平均が小幅高。円高一服、円安気味に推移したことが支えに。ただ関税の不透明感、日銀の利上げ観測が重石。引けは前日比+25円高の36,819円。

発表された国内企業物価(2月)は前年同月比+4.0%と前月+4.2%から鈍化したが予想通り。この日は春闘の集中回答日。満額回答が相次いだ。植田総裁は、市場の見方と日銀の見方に齟齬はない、先行きの見通しで長期金利が上昇するのは自然、と発言した。日本国債10年金利は1.52%へ上昇。

ドル円相場は147円80銭で始まり148円10銭台に上昇したあと148円前後でもみ合い。午後から欧州市場にかけては堅調となり148円60銭台に上昇した。米国市場朝方は148円90銭。

発表された米国のCPI(2月)は前年同月比+2.8%と前月+3.0%から上昇が鈍化して予想+2.9%を下回った。コア指数も+3.3%から+3.1%へ上昇鈍化して予想+3.2%を下回った。

ドル円相場は148円20銭に下落、149円20銭に反発、と乱高下。その後は下落して148円20銭~40銭で推移に引けは148円20銭。

ユーロドル相場は東京市場では1.0910~20で始まりやや軟調。夕刻は1.09ちょうど近辺で推移した。欧州市場から米国市場にかけては1.0920台~1.0870台で上下して引けは1.0890。

ユーロ円相場は東京市場では161円40銭で始まり20銭~60銭で上下動。夕刻から欧州市場にかけては162円30銭台へ上昇。しかし米国市場に入ると軟調に転じて引けは161円40銭。

米国株はまちまち。ダウは3日続落、ナスダックとSP500は3日ぶり反発。CPIを受けて過度なインフレ懸念は後退したが、関税の影響が生じる前の数字であり懸念は残った。

欧州とカナダが対抗措置として関税の引き上げを表明。鉄鋼・アルミニウム製品に対する関税はこの日から発動。日本ほか例外措置は撤廃。不透明感からNYダウは上値重く▲82ドル安の41,350ドル。ハイテク株には押し目買いが入りナスダックは+212ドル高の17,648ドル。

米長期金利は小幅上昇。10年債は4.318%、2年債は3.988%。

FRBの利下げに対する市場予測は年内3回のまま。この日カナダ中銀は政策金利を3.00%から2.75%へ0.25%引き下げた。市場の予想通り。景気先行き不透明感が強まっていることが背景。ウクライナは停戦を受け入れる姿勢を表明。次は米国とロシアの交渉へ移行。

木曜日の東京市場では日経平均が小幅安。前日の米ハイテク株株高を好感し値がさ半導体関連株が買われ朝方は+500円上昇。しかし関税や米景気不透明感、円高が重石。引けは▲29円安の36,790円。

ドル円相場は148円20銭で始まり10銭~30銭台で上限。昼以降は円高が進み147円60銭へ下落した。

植田日銀総裁が、賃金上昇率の強い姿が続く、と述べたことで利上げ積極姿勢と受け止められた。日本国債10年債は1.5%割れから1.54%へ上昇。円を押し上げた。

その後夕方から欧州市場にかけては円安に反転しドル円相場は148円20銭台へ。米国市場にかけては148円を挟んで上下。米国市場では再び円高に振れて147円40銭台へ下落。引けは反発して147円90銭近辺。

ユーロ円相場も同様の値動き。161円40銭で始まり30銭~50銭で上下。午後には160円50銭へユーロ安円高。欧州市場にかけては160円台後半で上下したあと161円20銭へ反発。ただ上値は重く160円台後半で上下したあと米国市場では160円10銭近辺へ下落。引けは持ち直し160円50銭。

ユーロドル相場は1.0890近辺でもみ合い小動き。欧州市場に入ると1.0860~90で上下したあと1.0820へ下落。米国市場では1.0860近辺でもみ合い横ばい引けた。

米国株は大幅下落。関税の不透明感、景気懸念が拡大。トランプ大統領が4月2日の相互関税発動について予定通りとの姿勢を示したことも嫌気。ベッセント財務長官はここ3週間の株安は気にしていないと発言したことも心理を悪化。

消費関連株が下落。S&P500指数は2月19日の最高値から10%以上下落して調整局面入りとされた。NYダウは前日比▲537ドル安の40,813ドル、ナスダックは▲345ドル安の17,303ドル。VIX指数は24.66と高水準。

米長期金利は低下。10年債は4.270%、2年債は3.957%。

発表された米国のPPI(生産者物価指数、2月)は前年同月比+3.2%と前月+3.5%から低下。コア指数は+3.6%から+3.4%へ低下。市場の年内利下げ回数の織り込みは3回が主流で変わらず。

金曜日の東京市場では日経平均が上昇。米国株が軟調もこのところ日本株は底固く海外勢が先物中心に買い。国内機関投資家や個人投資家も買いに回った。3月期末配当狙いの買いも支え。引けは+263円高の37,053円。

ドル円相場は堅調。147円90銭で始まり夕刻には149円ちょうど。欧州市場では148円台後半~149円で上下したあと米国市場では反落して148円30銭へ下落。引けは持ち直して148円60銭。米株高、米長期金利の上昇が支え。

ユーロ円相場も同様の値動き。160円50銭で始まり161円に上昇したあと夕刻から欧州市場にかけて一段高。162円30銭まで上昇した。その後米国市場では161円30銭へ反落し引けは161円70銭。

ユーロドル相場は小動き。1.0850で始まり1.0840近辺でもみ合い小動き横ばい。欧州市場では1.0910へ上昇したが米国市場で反落し引けは1.0880近辺。

米国株は大幅反発。前日まで大幅下落のあと短期間で売られ過ぎとの見方から自律反発狙いの買いが入った。関税に関する新たな悪いニュースがなかったことも支え。ハイテク株中心に上昇した。NYダウは前日比+674ドル高の41,488ドル。ナスダックは+451ドル高の17,754ドル。VIX指数は低下して21.77。

米長期金利は上昇。10年債利回りは4.316%、2年債は4.021%。

発表されたミシガン大学消費者態度指数(3月速報)は前月64.7から57.9へ大幅悪化。2022年11月以来の低水準となった。期待インフレは1年が前月の4.3%から4.9%へ上昇し2年4か月ぶりの高水準。5年が3.5%から3.9%へ上昇し1993年以来の高水準となった。

◆今週の3つの注目ポイント


1.日銀金融政策決定会合、植田総裁会見

火曜日・水曜日の2日間にわたり日銀金融政策決定会合が開催される。終了後15時半から植田総裁が定例会見を行う。今回は政策金利を据え置くとの予想。

トランプ大統領の円安批判、春闘で賃上げが高水準となったこと、植田総裁らが利上げに前向き、長期金利の上昇を容認する発言を続けたこと、などから今会合で利上げが実施されるとの見方が強まった。

しかし先週は利上げ見送りとの観測記事が相次ぎ、今回は据え置きとの見方が大勢となっている。植田総裁が会見でどれほど利上げに前向きな姿勢を示すかに注目。

2.FOMC、パウエル議長会見

同じく火曜日・水曜日の2日間にわたりFOMC(連邦公開市場委員会)が開催される。終了後にパウエル議長が会見を行う。今会合では政策金利は据え置きと予想されている。

注目はメンバーの景気物価政策金利予測。12月会合では2025年の利下げ回数は9月予測の4回から2回に半減していた。

一方、このところの景気悪化観測で市場は年内3回の利下げを織り込んでいる。メンバー予測で利下げ回数の上方修正があるか。なおもトランプ政権の政策に不透明感が強いなかパウエル議長が足元の景気物価動向にどのような認識を示し、金融政策のバイアスを示すか。

3.米国の経済指標

引き続き米国の景気悪化懸念が市場の関心事。経済指標の強弱に振らされる展開に。

月曜日 NY連銀製造業景気指数(3月、予想▲2.0、前月5.7) 小売売上高(2月、前月比、予想+0.6%、前月▲0.9%) NAHB住宅市場指数(3月、予想42、前月42)

火曜日 住宅着工件数(2月、季節調整済み年率換算、予想1,375千戸、前月1,366千戸) 鉱工業生産(2月、前月比、予想+0.2%、前月+0.5%) 設備稼働率(予想77.8%、前月77.8%)

木曜日 フィラデルフィア連銀製造業活動指数(3月、予想8.0、前月18.1) 週次の失業保険申請件数 景気先行指数(2月、前月比、予想▲0.3%、前月▲0.3%) 中古住宅販売(2月、季節調整済み年率換算、予想394万戸、前月408万戸)、

ほか、月曜日に中国の2月の重要指標(小売売上高、鉱工業生産、固定資産投資)。

日本の経済指標では、火曜日に第三次産業活動指数(1月)、水曜日に通関統計(2月、貿易収支、予想黒字6,380億円、前月赤字2兆7,590億円)、機械受注(1月)、金曜日に消費者物価指数(CPI、2月、前年同月比、総合、予想+3.5%、前月+4.0%、除く生鮮食品、予想+2.9%、前月+3.0%、除く生鮮食品・エネルギー、予想+2.6%、前月+2.5%)が発表される。

◆今週のMRA's Eye


日米で金融政策決定会合~一時的ドル高円安リスクも流れは不変

今週、日銀とFRBが金融政策決定会合を開催する。ここ1ヵ月ほど、市場の金融政策織り込みは、日銀は利上げ前倒し、FRBは利下げ前倒し、との見方が強まってきた。金利差が縮小する方向に金融政策格差が縮小、金融政策の逆行が強まるとの思惑が大勢となってきた。

円金利先高感、ドル金利先安感、の台頭で日米長期金利差は縮小。ドル安円高の原動力となっている。

今週の会合での注目は今後の政策スタンス、金融政策のニュアンスが、どのように表明されるか。市場の思惑、織り込みとのギャップはどうか。市場の見方を追認するかたちとなるか。市場の織り込みを修正することになり、金利感の変化からドル安円高も修正されることになるか。

日銀については、昨年末には利上げに慎重との見方が市場予測の大勢だった。次回利上げは春から年央とみられていた。しかし1月に利上げを実施。想定よりタカ派と受け止められた。

もともと年末ないし1月に追加利上げとみられていたところ、市場が日銀をハト派とみて先送り観測を強めたことが間違いだった。日銀のスタンス、着実に金融緩和を修正していく、利上げを継続していく、との姿勢は何ら変わっていなかったということになる。

その余波を受けてか、今度は市場が逆サイド、タカ派サイドに見方を変えた。7月とみられていた次回利上げが5月に、さらに3月に前倒しとまで変化した。

植田総裁、氷見野副総裁、内田副総裁、ほか審議委員の発言には、利上げ実施時期はともかくとして利上げ継続姿勢が明確。物価高問題が依然として取り沙汰される状況。インフレ率は鈍化しているものの、日銀が目標とする2%を上回った状況が続く。

そこにトランプ大統領から円安批判が加わった。

これまでの金融緩和策で円安誘導してきたとのニュアンスと受け止められ、利上げの背中を押す要因との見方が強まった。さらに春闘での賃上げ率が昨年に続き高水準で妥結する見通しとなったことが大きい。

長期金利、日本国債10年債利回りが1.5%を超えたことが懸念材料となったが、植田総裁は、市場の見方と日銀のスタンスに齟齬はない、とし、先々の金利予測で長期金利が上昇することは当然との見方を示した。

利上げ、金利先高感、長期金利上昇、にブレーキをかけるとすれば政治からの圧力だが、今のところそれもみられない。

株価下落はそうした政治サイドからの圧力の要因とみられがちだが、目下の株安は日銀の利上げ姿勢ではなく米国株の急落が主因。日本株は米国株に比べて相対的に底固く推移している。

ただ市場の利上げ予測ほどには日銀は利上げに前のめりになってはいないようだ。利上げを急ぐ理由がないことも確か。このところ円安は修正されドル円相場は一時146円台をつけるまでになっている。関税や米国景気、世界景気悪化懸念も漂うなか焦る理由もない。

すでに日銀当局者からは利上げをペースアップする理由はないとの発言がみられる。つまるところ、市場の見方はハト派タカ派に大きく揺れ動いてきたが、日銀のスタンスは淡々と金融緩和を修正していくとの方針で変化がない。

5月ないし7月に利上げ、その後に12月ないし1月に再利上げ、といったところが今のところ予想中心になるのではないか。

短期的には投機筋の動向が気になるところ。シカゴ通貨先物の投機的円ポジションは直近3月11日時点で13万枚超と前週と変わらず過去最大のまま。週末にかけてやや縮小した可能性はあるが、あまり大きな変化はなさそうだ。

今回の日銀金融政策決定会合で市場の想定よりもハト派、利上げに慎重な姿勢と受け止められれば、円売り戻しで円安に振れるリスクが高い。一方、中期的には利上げ姿勢が維持されることから、円先高感には大きな変化はないだろう。円安は一時的かつ限定的となりそうだ。

米国のFOMCでは政策金利は据え置き予想。最大の注目はメンバーの景気物価政策金利予想。パウエル議長はトランプ政策の不透明感が極めて強いなか、この予測の公表による市場とのコミュニケーションに苦慮しているようだ。

そうした懸念にかかわらず、市場は利下げ予測に変化があるかに注目している。

12月時点では今年の利下げは2回となっていたが、現状では市場の織り込みは3回とやや多い。12月会合では利下げが実施されていたが1名が利下げに反対し、全体のトーンとしてはタカ派だった。

なおもトランプ政策の不透明感やインフレ懸念が根強いなか、あえて12月時点と判断が変わり利下げ予測が3回に増える可能性は少ないだろう。

ただ足元の景気動向への懸念が増していることも確かだ。今回の会合のトーンがハト派に傾いたかどうかが焦点となる。

ドル金利先安感が強まっていること、ドル安観測が強まっていることは、逆に短期的にはドル高方向への修正リスクがあることを示す。円ポジションも含め、来週の日米金融政策決定会合前後ではドル高円安への一時的調整リスクはありそうだ。

ただ中期的な流れが今のところ変わる材料はない。緩やかなドル安円高基調が続くなかでの「相場のアヤ」ということになろう。


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