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ドル安で金属上昇続く
  • MRA商品市場レポート

2025年3月12日 第2928号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「ドル安で金属上昇続く」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、発電燃料と貴金属、非鉄金属が上昇し、液体系燃料価格は下落した。

引き続き米政権の関税政策やそれに対応する動きが、金融・商品市場を大混乱に陥れている状況だが、現在の米政策をそのまま実行すると

1.米景気・世界景気減速ないしは後退
 →関税引き上げによる貿易コスト増加が企業活動を圧迫
2.米景気悪化によるドル安進行(米国離れ)
 →景気悪化や精度の先行き不透明からドル価値が下落
3.地政学的リスクの高まりによる、供給不安による商品価格の乱高下
 →供給不安顕在化により資源価格が不安定に
4.米国への製造業移転が進めば米国の労働市場需給が逼迫してインフレに
 →景気減速の場合はインフレが抑制される可能性も否定できず

こうした政策の実施はバイデン・民主党憎しといった感情論も影響していることは想像に難くない。しかし、政策のゴールが「製造業を米国に回帰させ、ドル安の下で輸出を拡大すること」にあるとすれば、企業の反応は異なる可能性がある。企業は「米国向けの輸出を米国で製造する」ことは検討するかもしれないが、米国を「製造・輸出のグローバル拠点」とするインセンティブは乏しいだろう。

例えば、TSMCは米国での工場建設を決定したが、これは新規投資の一環であり、既存工場を閉鎖してまで米国に移転するハードルは高い。

理由として、
1.ドル安でも関税引き上げによる調達コスト増が避けられないこと
2.米国の労働力不足と技術習熟度の低さが生産効率を下げる懸念があること
3.政策の継続性が不透明なこと

が挙げられる。特に、来年の中間選挙でトランプ陣営が敗北すれば、この経済的負担の大きい政策(例:企業への補助金や税制優遇の財政コスト)が共和党主導で見直される可能性があり、企業の長期投資判断を鈍らせるだろう。

さらに、工場移転後に期待される関税引き下げが実現する保証もないため、企業は慎重な姿勢を崩さないのではないか。


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