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トランプ関税の影響波及 景気循環系商品売られる
  • MRA商品市場レポート

2025年3月5日 第2923号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「トランプ関税の影響波及 景気循環系商品売られる」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はその他農産品や貴金属セクター、LME非鉄金属の一角が上昇したがその他は下落した。米国の関税とそれに対する報復の連鎖が世界景気に悪影響を及ぼし、企業業績も悪化するとみられたことが株価を押し下げ、市場参加者のリスク許容度を低下させたことが背景。

特に原油やガスの下落が顕著であり、背景にはOPECプラスの増産や米国がロシアの制裁緩和を検討していること、ロシアが米国とイランの交渉の橋渡しをする意向があるなどの供給面が材料視された。

一方、米ガスは急騰。米国に電力を供給しているオンタリオ州が電力価格を25%報復措置で引き上げるとしたことが材料となった。

トランプ関税は明らかに世界経済にマイナスであり、そんなことは米国側も分かっているはずだがそれをかなり強硬に推進している。予定調和的に関税引き上げは取り下げられるだろう、という姿勢で臨んでいる相手国の翻意を促すには、返り血を浴びたとしてもやり通す、という姿勢が必要と考えてるためだろう。

結局、「米国で全てを作れ」という政策な訳だが、「メイク・イン・インディア」が機能していないことと似ている。インドの場合、国内での製造業生産を増やそうと思った場合、東南アジアからの部品輸入を増やす必要があるため、貿易収支赤字が増えてルピー安になり、インフレ・高金利継続・景気低迷、となりやすい構造になっている。

米国の場合も、製造業が移転して来ても資源は海外から調達せざるを得ないため、結局割高な調達になり、米国民の負担が重く、かつ、割高になる米国製品(しかもハイテク製品と異なり、製品が良いとは言えない)を購入する国があるのかという問題が出てくる。

こうなると有り得るのが、1.関税自体を何らかの譲歩(多くの場合、米国の雇用を生む投資か)を引き出した上で関税を引き下げ、2.原材料のみ関税を掛けない(加工品は製造業を誘致したいので関税対象)、となるだろうか。


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