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中国報復関税発動でリセッション懸念織り込み急落
  • MRA商品市場レポート

2025年4月7日 第2946号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「中国報復関税発動でリセッション懸念織り込み急落」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は軒並み下落し、ビットコインやその他農産品などの景気に直接影響を受け難い商品、景気減速観測で債券が買われその他の商品は軒並み大幅な下落となった。

昨日発表された米雇用統計は、米国の雇用環境が安定していることを確認する比較的良い統計だったが、「関税前」の統計であり最早この統計にはほとんど意味が無い。トランプ大統領の政策により経済活動には著しい不連続性が発生しているからだ。

トランプ政権が打ち出した相互関税に対して中国が報復、既にカナダも報復関税の方針であるため世界同時増税になるとの見方がリスク回避の動きを強めた。以前、このコラムで指摘した組み合わせの中で、「リセッション」を意識した状態になっていると考えられる。

原油下落・金下落:リセッション
原油下落・金上昇:リスクオフ
原油上昇・金下落:景気底入れ
原油上昇・金上昇:リスクオン

今回の状況は、関税の影響がどうなるか分からないため取引が手控えられる低流動性と、関税によるモノの移動が制限されるといった2つのリスクが顕在化している。前者はリーマン・ショック、後者はコロナ・ショックであり、この2つの歴史的なショックと類似するショックが同時に発生している。

この状況を放置すればリセッション入りは確実であり、既に何らかの対策を当局が行わなければならないレベルだ。FRBの緊急利下げぐらいはあるだろうが、今回の政策は米国内に深刻なコストプッシュインフレをもたらすため、緩和が適当とは言えない所が難しい。

バイデン政権時代は野放図に歳出を増やしてインフレを助長して来たため、トランプ政権誕生でこうした問題が解消されるとの期待感があったのは事実だろう。しかし既に米大統領の職務遂行状況への評価は悪化、好感度も低下している。

結局、関税政策を取り下げる、ないしは修正するといったことが必要になってくる。この場合、政策が早いタイミングで修正されればリスク資産価格が反転上昇する可能性は高く、ドル建て商品価格上昇・ドル円上昇で円ベースの価格は上昇が予想される。


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