米中関税合戦で下落も下げ幅削る
- MRA商品市場レポート
2025年4月8日 第2947号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米中関税合戦で下落も下げ幅削る」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は軒並み下落し、綿花や穀物といった非景気循環商品が物色される流れとなった。
中国は米国に対して34%の報復関税発動を宣言、トランプ大統領はこれに対して関税を引き下げなければ50%の関税を課し、今後一切交渉を打ち切ると発言したことが市場の混乱を誘ったが、この数日の株価の下落があまりにも大きかったため、一旦小休止となったことがリスク資産の買い戻しを誘い、下げ幅を削る動きとなった。
ただ、やや気になったのが米長期金利の上昇。米関税強化を受けた貿易戦争の勃発で、中国が米国債を売りに回った可能性は否定できない。これは小さくないリスクである。
昨日もコメントしたが、今回の市場のクラッシュは「100年前に時計の針を戻そうとする」無茶な政策が影響している明らかな人災である。民主党政権時代の野放図な財政拡張に歯止めを掛ける、関税で財政再建を図るというのは過去の米国でも何回か見られた政策、ではある。
この200年で歴史に残る高関税政策が取られたのは、200年前のジェームズ・マディソン、ウィリアム・マッキンリー(ディングリー関税法)、フーバー(スムート・ホーリー関税法)の3人だが、いずれも自国の製造業・農業保護、財政再建などが理由だった。
前者2人はまだ国債分業が進んでおらず、世界的に工業化が進んだ時代であるため製造業保護の政策はそれなりに機能した。しかし、フーバーの時代には既に国際分業が進んでおり、カナダと英国、フランスが報復関税を実施、米景気は急速に悪化した。
この時は株が暴落して世界経済が不安定化する中で、国内産業保護(主に製造業と農業であり、今回のトランプ関税と同じ)のために関税が引き上げられた。
平均関税率は40%で今回の22%に比べれば低い。しかしこの結果、米国の失業率は8.7%から24.9%に上昇して更に景気が悪化、フーバーは「無能」のレッテルを貼られて大統領選挙に敗北、後を継いだフランクリン・ルーズベルトが関税を段階的に引き下げ、ニューディール政策に繋げてこの不況から脱した。
フーバー時代は既に大恐慌で景気が悪かったため、関税の引き上げが更に需要を下押ししてデフレとなったが、今回はまだ需要が崩壊している訳ではないため低成長下でのインフレが(スタグフレーション)が懸念されている。
◆本日のMRA's Eye
「PGM価格は低迷も米政策次第では上振れの可能性も」
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