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露主要産品価格は下落 その他はドル安で堅調
  • MRA商品市場レポート

2025年2月14日 第2910号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「露主要産品価格は下落 その他はドル安で堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はエネルギーやアルミ、ニッケルなどが下落したがその他の商品は上昇したものが目立った。

米トランプ大統領が宇露停戦にかなり前のめりになっており、「ロシアに対する制裁が緩和されるのではないか」との期待が高まったことが、ロシアの供給依存度が高い商品価格を押し下げた。

一方、相互関税に関する大統領令にトランプ大統領が署名したが即日発効ではなかったことで、インフレへの懸念が後退して長期金利が低下、ドルが総じて軟調な推移となったことや、市場参加者のリスク選好を高めて株価が上昇したこともリスク資産価格を押し上げる形となった。

本当かどうか真偽のほどは分からないが、トランプ大統領はノーベル平和賞を狙っているとされ、在任期間も4年と限られることから「かなり焦っている」という印象は否めない。

今回のロシアとの交渉もウクライナ抜きで行われる見通しであり、ロシアをG8に復帰させればウクライナ軍事侵攻はない、とまで発言している。どこまでプーチン大統領のことが好きか分からないが、ロシアがG8の時にクリミアを強制併合している。

もしこれで宇露停戦となってもノーベル財団がノーベル平和賞をトランプ大統領に授与しなかった場合、また国際政治は荒れるのではないか。今年の年後半はそのリスクに晒されることになる。

前政権でかなり左寄り過ぎの政策が取られていたことも事実であるが、今度はかなり拙速に右寄りに急速に転換していることも、ノーベル平和賞のリスクとは切り離して連続性の観点からリスクと言えるだろう。

株価のみならず、制度の変更はモノのフローの大きな変化をもたらすため、商品価格の大きな変動要因となり得る。このことはトランプ大統領在任期間中~次期政権に移行、の少なくとも8年間、市場価格の校変動性が継続する可能性が高いことを示唆している。

特に、次期政権が民主党政権となった場合、上記の理由で再び変動性は高くなることが予想される。

なお、テレビ東京が日鉄はUSスチールに対する完全子会社化を提案へ、と報じている。これに先立ち、トランプ大統領は「USスチールは日鉄と話をするべきではなかった」と発言しており、この文脈通りだとディールは成立しないだろう。

ただ、完全子会社にして日鉄の技術を提供して製品ラインナップを強化、炉のアップグレードで生産効率を改善、環境負荷も低減すれば、米国側にもメリットは多く非常に大きな統合効果が得られたはずだ。AIやハイテク分野では日本は米国に後れを取っていることは否めないが、素材や部材の分野では日本に一日の長があることは間違いが無く、USスチール側にもメリットが大きいはずだ。

しかし、これが行われると、米籍のその他の鉄鋼メーカーの脅威となることから、国内が反発(ニュースで日本を悪し様に罵っていたクリーブランド・クリフスなど)しているのだろう。


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