リスク回避の強弱と金融政策格差
- MRA外国為替レポート
2025年2月3日号
◆先週の市場総括
先週は週初から中国の生成AI、DeepSeekに対する警戒感から米国株が月曜日の東京時間から急落。ハイテク株、半導体関連株が大きく下落、ナスダックが急落し市場全体にリスク回避が強まった。
為替市場では円が急速に買い戻されて月曜日にはドル円相場が156円台前半から一時153円台後半へ急落した。ただショックは次第に緩和。米国株は持ち直し。NYダウは中国生成AIの影響は受けず堅調に推移し週末には一時史上最高値を更新した。
FOMCでは予想通り政策金利は据え置き、利下げ見送り。パウエル議長は米国経済は堅調、政策不透明感が多い、として利下げを急がない姿勢を示した。
一方ECBは0.25%の利下げを実施し中銀預金金利を3.00%から2.75%に引き下げた。そのほか、カナダ中銀も3.00%へ6会合連続の利下げ。
週末にはトランプ政権がカナダとメキシコに25%関税を、中国に10%関税を、2月1日から導入する方針を表明。米長期金利は上昇。
ドルは堅調。ドル円相場は155円台前半で引け。ユーロドル相場は1.03台後半に下落。ユーロ円相場は乱高下が続き週末に一時160円を割るなど上値重く週末は160円台後半で引けた。
日経平均はハイテク株安の影響を受けたものの39,000円接近では底固く週末の引けは39,500円台。
月曜日の東京市場では日経平均が下落。前週末の米国半導体株安で東京市場でも値がさ半導体関連株が下落。中国の生成AIへの警戒感も下押し要因。一時▲400円超下落した。データセンター関連株も大幅安。ただその他の銘柄は堅調だった。引けは前週末比▲366円安の39,565円。
ドル円相場は155円70銭で始まり30銭に下落したが東証に毛にかけて156円20銭へ上昇。その後は中国の生成AI、DeepSeekが中国のみならず米国でもダウンロード1位となったと報じられたことで米国株先物が急落、大幅安。
これを受けたリスク回避で円買い戻しが強まり欧州市場にかけて153円70銭台まで下落した。ユーロ円相場も同様に163円20銭で始まり162円60銭台に下落、その後は163円40銭台に上昇していたが、161円50銭台へ急落した。
米国市場にかけてはやや落ち着きを取り戻しドル円相場は上下しながら154円70銭へ反発して引けは50銭台。
ユーロ円相場は162円40銭に反発したが上値重く162円を挟んで上下して引けは162円10銭近辺。ユーロドル相場は落ち着いた値動き。東京市場では1.0480で始まり小動きもみ合い。夕刻から欧州市場にかけては1.0460~1.0530で上下して米国市場引けは1.0490。
米国株はナスダックが大幅安。中国の生成AIの台頭で米国のAI関連銘柄への警戒感が強まった。半導体関連株のほか大規模クラウド業者にも売り。一方、ディフェンシブ銘柄、消費関連には買いが入った。引けはナスダックが前週末比▲612ドル安の19,341ドル、NYダウは+289ドル高の44,713ドル。
米長期金利はリスク回避で低下。10年債は4.530%、2年債は4.195%。
火曜日の東京市場では日経平均が大幅続落。前日に米ハイテク株が大幅安となったことで一時▲600円超下落した。半導体関連、電線株が売られ大きく下落。一方で銀行株など割安株には買い。引けは▲548円安の39,016円。
ドル円相場は154円50銭台で始まり堅調。午後から夕刻にかけては155円90銭に上昇したあと155円台後半で上下した。欧州市場ではやや下落して155円台前半で上下。米国市場では155円台後半に戻してもみ合い引けは155円50銭台。
ユーロ円相場は162円10銭台で始まり朝方161円60銭へ下落。その後は持ち直して162円台前半で上下し夕刻は162円70銭。欧州市場に入ると161円80銭に下落し米国市場では持ち直して162円20銭近辺でもみ合い引けた。
ユーロドル相場は東京市場では1.0490で始まり朝方1.0430へ下落。その後は一時1.0460へ上昇したが欧米市場では終始1.0420~40でもみ合い小動きとなりそのまま引けた。
米国株は上昇。NYダウは続伸。ハイテク株は3営業日ぶりに反発。中国AIショックはひとまず一服。開発コスト低下の恩恵というメリットも着目された。一方、トランプ政権の関税引き上げ策への警戒感は重石となった。NYダウは+136ドル高の44,850ドル、ナスダックは+391ドル高の19,733ドル。
米長期金利は横ばい。10年債は4.534%、2年債は4.197%。
発表された耐久財受注(12月)は前月比▲2.2%と弱め、除く輸送機器では+0.3%と予想通り。消費者信頼感指数(1月)は前月104.7から104.1へ悪化して106への改善予想を下回った。
水曜日の東京市場では日経平均が4営業日ぶりに反発。前日の米国株主要3指数が上昇したことから買い戻しが優勢。売られてきた半導体関連株が買われた。割安銘柄にも海外勢の買いが入り堅調。引けは前日比+397円高の39,414円。
ドル円相場は155円50銭台で始まりやや上昇して155円台後半で推移。しかし昼頃から反落して東証引け頃には155円ちょうど近辺へ。下げ止まって欧州市場では155円台前半でもみ合い。
米国市場では再び下落して一時155円割れ、60銭に上昇したが155円20銭に押し戻されて引けた。
FOMCの2日目が終わり結果は予想通り政策金利は据え置き。声明では、米国経済は堅調、失業率は低水準で安定、労働市場は堅調、インフレ率はいくぶん高止まり、とされた。
パウエル議長は声明で、利下げを急ぐ必要はない、追加利下げにはさらなるインフレ鈍化を示すデータが必要、関税・移民・財政政策・規制緩和の4つの政策を注視している、と述べた。
市場はややタカ派との受け止めも。3月会合でも据え置き予想。6月利下げとの見方が有力となったが利上げなお見送りとの見方もあり見方は割れた。
米長期金利は概ね横ばい。10年債は4.534%、2年債は4.220%。
ユーロは上値の重い値動き。ユーロドル相場は東京市場では1.0430近辺でもみ合い横ばい。やや上昇して夕刻は1.0440。欧州市場に入ると下落して1.0380台へ。米国市場では戻して1.0420近辺でもみ合い、FOMCの結果に一瞬1.0390に下落したが戻して1.0420で引け。
ユーロ円相場は東京市場では162円20銭で始まり午後、夕刻から欧州市場にかけて下落して161円30銭へ。米国市場では底固くやや持ち直して161円70銭で引け。
米国株は下落。FOMCの声明文がややタカ派との見方が上値を抑えた。ハイテク株は買い手控え。中国生成AIの影響を見極めへ。NYダウは前日比▲136ドル安の44,713ドル、ナスダックは▲101ドル安の19,632ドル。
この日、スウェーデン中銀は政策金利を2.50%から2.25%へ引き下げ。カナダ中銀は3.25%から3.00%へ利下げ。利下げは6会合連続。一方、ブラジル中銀は通貨安やインフレ懸念から12.25%から13.25%へ利上げした。
木曜日の東京市場では日経平均が小幅続伸。米ハイテク株安で朝方は半導体関連株中心に売られて下落。ただその後は持ち直し。39,500円から上では利益確定売りで上値重かった。
ドル円相場が154円台前半へ下落したことも重石となった。引けは+99円高の39,513円。為替市場では昼頃に円高に振れた。日銀の氷見野副総裁が、実質金利がプラスの世界までまだ距離がある、と、利上げ継続姿勢を示したことが円買い材料となった。
ドル円相場は155円20銭で始まり昼には154円30銭へ下落。その後は40銭~70銭で上下動。欧州市場ではユーロ円相場の下落とともにあらためて円高が進み一段安となり153円80銭へ下落。154円を挟んで上下し米国市場では154円50銭へ戻した。ただ上値重く154円台前半で上下して引けは154円20銭台。
ユーロ円相場は161円70銭で始まり昼には160円80銭台へ下落。その後は161円を挟んで上下したが欧州市場では再び円高に振れて160円20銭台へ下落した。欧州の弱いGDPの数字を受けて下落した。
ECBの利下げは事前予想通り。米国市場では下げ止まったが上値重く、160円台後半で上下したあと引けにかけて下落し160円20銭台で取引を終えた。
ユーロドル相場は東京市場ではECB理事会を前に1.0420近辺でもみ合い小動き動意薄。弱い欧州の数字を受けて1.0390に下落したが米国市場では米国のGDPも弱くユーロ高ドル安に反発し1.0460。その後は1.04台前半を中心に上下して引けは1.0390。
ドイツのGDP(10-12月期)は前期比▲0.2%と前期+0.1%からマイナスに転じた。ユーロ圏は同+0.4%から0.0%へ。
この日開催されたECB理事会では政策金利が▲0.25%引き下げられた。預金ファシリティ金利は3.00%から2.75%へ。利下げは4会合連続。
ラガルド総裁は会見で利下げ停止の議論は時期尚早、インフレ鈍化は順調、年内に目標の2%に低下する見込み、当面は景気低迷が続き下振れリスクがある、と述べた。
米国のGDPは前期比年率+2.3%と前期+3.1%から大幅に低下。ただ個人消費は+3.7%から+4.2%へ加速して堅調だった。PCE(消費価格指数)コアの上昇率は前期比年率で前期の+2.2%から+2.5%へ上昇した。
米長期金利は小幅低下。10年債は4.52%、2年債は4.214%。
米国株は小幅反発。一部主力株の決算を好感。中国生成AIのショックは緩和。一方、トランプ大統領がカナダ・メキシコへの25%関税方針をあらためて示したことは重石。利益確定売りが上値を抑えた。
NYダウは前日比+168ドル高の44,882ドル、ナスダックは+49ドル高の19,681ドル。VIX指数は15.84ポイントまで低下し市場心理の落ち着きを示した。
金曜日の東京市場では日経平均が小幅続伸。前日の米国主要3指数が揃って上昇したことが支え。米ハイテク株が堅調だったことから半導体関連株、AI関連株が買われた。中国AIの懸念がひとまず一服。12月期決算前に個別物色も強まった。引けは前日比+58円高の39,572円。
ドル円相場は154円20銭台で始まり朝方50銭に上昇したが反落して154円台前半で上下。昼前から東証引けにかけては円安に振れて154円90銭へ上昇した。その後は欧州市場から米国市場にかけて154円50銭~155円ちょうどで上下。米国市場終盤には堅調となり155円20銭に上昇し155円ちょうど~20銭で推移し155円20銭近辺で高値引け。
トランプ政権のレビット報道官が、2月1日からカナダ・メキシコに25%関税を、中国に10%の追加関税を課す、と発言。米長期金利が上昇、10年債利回りが一時4.58%へ急速に上昇したことがドルを押し上げた。10年債の引けは4.541%、2年債は4.205%。
ユーロ円相場は値動きの荒い展開。160円20銭台で始まり40銭台に上昇したあと160円割れに反落。その後午後には161円目前まで上昇し上下動。欧州市場に入るとユーロが急落し160円20銭へ下落した。
発表されたドイツCPI(1月)が前年同月比+2.3%と前月+2.6%から大きく低下してユーロ安に。その後は161円ちょうど~160円ちょうどで上下。その後はドル円相場の上昇につれて161円50銭に上昇したが160円50銭に反落するなど値動き荒く引けは160円80銭台。
ユーロドル相場は東京市場では1.0390で始まり小動きもみ合い夕刻は1.0410。弱いドイツCPIを受けて1.0360台へ下落したあと1.0380近辺でもみ合い。米国市場では1.0430台へ上昇したあとユーロ安ドル高に振れて引けは1.0360近辺。
米国株は下落。関税引き上げへの懸念、米経済への悪影響やインフレ懸念が重石。長期金利が一時大きく上昇したことも嫌気された。NYダウは決算期待で一時史上最高値を更新していたが反落し引けは前日比▲337ドル安の44,544ドル。
ハイテク株も弱くナスダックは▲54ドル安の19,627ドル。
米国で発表された雇用コスト指数(10-12月期)は前期比+0.9%と前期+0.8%からわずかに上昇。個人所得・消費支出(12月)は前期比+0.4%・+0.7%と強い数字だった。
消費支出価格デフレーター(PCEデフレーター)は前年同月比+2.6%と前月+2.4%から上昇、コア指数は+2.8%で横ばい、いずれも予想通りだった。シカゴ購買部協会景気指数(1月)は前月36.9から39.5に改善した。
◆今週の3つの注目ポイント
1.米国の経済指標
今週は重要な指標が相次ぐ。
月曜日 ISM製造業景気指数(1月、予想49.5、前月49.3)
火曜日 雇用動態調査(12月、JOLTS求人数、予想7,880千人、前月8,098千人) 製造業新規受注(12月、前月比、予想+0.5%、前月▲0.4%)
水曜日 ADP雇用報告(1月、雇用者数前月比、予想155千人、前月122千人) ISM非製造業景気指数(1月、予想54.3、前月54.1) 貿易収支(12月)
木曜日 労働生産性(10-12月期、前期比、予想+1.9%、前期+2.2%) 単位労働コスト(同、前期比年率、予想+3.4%、前期+0.8%) 週次の失業保険申請件数
金曜日 ミシガン大学消費者信頼感指数(2月速報、予想71.4、前月71.1) 雇用統計(1月、非農業部門雇用者数・前月比、予想+158千人、前月+256千人、失業率、予想4.1%で前月と不変、平均時給、前年同月比、予想+3.8%、前月+3.9%)
雇用統計は年次改定が予定されており下方修正されるとみられている。
2.FRB当局者発言
今週はFOMCが終わりFRB当局者の発言が解禁となる。利下げの可能性やその時期について何らかのヒントとなる発言があるか。
月曜日にアトランタ連銀総裁、セントルイス連銀総裁、火曜日にサンフランシスコ連銀総裁、水曜日にシカゴ連銀総裁、リッチモンド連銀総裁、木曜日にウォラー理事、がそれぞれ発言の機会がある。
3.トランプ政権の関税政策
2月1日、トランプ大統領は、カナダとメキシコに25%の、中国に10%の、それぞれ輸入関税を引き上げて適用する大統領令に署名した。市場は週末にやや警戒感を強めていたが、あらためてインパクトが生じる可能性に留意が必要だ。
景気やインフレへの懸念がさらに強まることになるか。米長期金利の動向、FRB当局者の見方、ひいてはドル相場にどのような影響をもたらすか。
ほか、月曜日には日銀金融政策決定会合(1月)の議事要旨が公表される。追加利上げに向けたスタンスはどうか。木曜日にイギリス中銀(BOE)が政策決定会合を実施する。政策金利は4.75%から4.50%へ引き下げられると予想される。終了後ベイリー総裁の会見が実施される。
◆今週のMRA's Eye
リスク回避の強弱と金融政策格差
先週初に急遽高まった中国AIへの警戒感が緩和し、一時強まったリスク回避は次第に後退した。しかし週末にはトランプ政権による関税引き上げがあらたに市場の懸念を強めつつある。
大統領はカナダとメキシコに対する25%の関税適用、中国に対する関税10%引き上げ、の大統領令に署名。2月4日から発動することとなった。インフレ懸念が高まりFRBが利下げに動きにくくなるとの見方から再び米長期金利に上昇圧力がかかる可能性がある。
一方で、個人消費に対するインフレの悪影響、米国企業の警戒感が高まり雇用に悪影響を及ぼす可能性もある。こうした側面からは、次第に景気悪化、利下げ、長期金利低下、となる可能性もある。米国株に下落圧力がかかりリスク回避が強まる可能性もある。
米長期金利の上昇によるドル高、リスク回避による円高、いずれが強まるか不透明。両者の間で揺れ動く展開となりそうだ。
ただ少なくともリスク回避の強弱の範囲内での動きに止まり、リスク選好が強まる展開にはなりにくいだろう。となると円安になる可能性は低いのではないか。
円が横ばいないし円高気味となるなか、金利面でドル高となるのか、あるいはドル安に振れる可能性があるのかということになる。
最もドル安円高に振れるケースは、米国経済への不安が強まり、米国株が調整、米長期金利が低下、となる場合。このケースでは円が全面高となりながらドル高円安に振れるだろう。
ひとまずの関税引き上げがいわゆる「ディール」の一手段であり、何らかのメリットを引き出せれば矛を収めていくのではないかとの期待もある。この場合はリスク回避が緩和するだろう。
ただ現時点ではそうした見方は楽観に過ぎない。また積極的にリスク選好が強まるわけでもない。マイナスがせいぜいゼロに戻るまでで、プラス材料に転じることはないだろう。
トランプ政策によるリスク回避の強弱以上に、依然として大きいのは各国の金融政策動向による為替相場変動へのバイアスだ。トランプ政策とは無関係ではないが、より中期的には金融政策格差の為替相場への影響力が大きい。
足元で概観すれば、金融緩和解除・利上げ継続姿勢の日銀、利下げバイアスながら慎重となるFRB、利下げ継続姿勢を明確にするECBほか欧州各国中銀、という構図。これは昨年末以降変化がない。
先週、FOMCでは政策金利は据え置き。声明文では、米国経済は堅調に推移している、失業率は低水準で安定し労働市場は堅調、インフレ率はいくぶん高止まり、とした。
パウエル議長はさらなるインフレ率低下のデータが得られるまで利下げを急ぐ必要がないとの趣旨を述べた。トランプ政策の不透明感も判断先送りの要因だ。
議長は、関税、移民、財政政策、規制緩和、を注目する政策として列挙した。政策によりこれらが実体経済に影響を顕在化させるのはなお先。今年の後半になる可能性がある。そこまで様子見、利下げを見送りとするのか。
市場は現時点で6月の利下げを織り込んでいるようだ。ただ年内2回の利下げまでは織り込めていない。ふたたび年内利下げなしに振れることもあろう。
一方でECBは先週▲0.25%の利下げを実施した。利下げは4会合連続。すでに昨年12月の会合で▲0.50%の大幅利下げを主張する意見があったとおり、メンバーの意見は利下げ継続・強化に傾いている。
フランス中銀総裁は夏までに▲1%の利下げが必要との意見も示していた。通常であればタカ派でインフレファイターとして鳴らすドイツ連銀が利下げにブレーキをかけやすい。
しかし域内でドイツ経済の不振が際立っていることから利下げに異論はないだろう。
インフレ率も低下している。ドイツの1月のCPIは前年同月比+2.3%と前月+2.6%から大きく低下し目標に近づいている。ECBラガルド総裁は利下げ停止の議論は時期尚早として利下げ継続姿勢。インフレ鈍化は順調で年内に目標の2%に達するとみている。
景気低迷が続き下振れリスクがあるとの認識だ。市場では今回の利下げを含めて合計1.00%の利下げを織り込んでいる。景気物価動向、金融政策動向はユーロ安を示す。
その他中銀でも利下げが相次いでいる。カナダ中銀は先週3.25%から3.00%へ利下げを実施した。利下げは6会合連続だ。米国の政策金利(FF金利誘導水準)は4.25% -4.50%。隣国でありながら政策金利差は1%以上に拡大した。
NZ準備銀行は昨年8月から利下げを開始しすでに1%以上の利下げを実施。次回2月の会合では▲0.50%の大幅利下げを示唆している。豪準備銀行は23年11月に4.35%へ最後の利上げを実施したあと現在に至るまで金利を据え置いてきた。
しかしこちらも2月の会合で▲0.25%の利下げを実施すると予想されている。米国を除く先進各国中央銀行は一段と利下げに傾斜している。こうしたなか日銀は利上げ継続姿勢が明確。金利面からみれば円安そのものは修正局面にあり、さらにその傾向が強まるとみるのが妥当だろう。
米国ではトランプ政策の影響が不透明であり、また市場動向も波乱含みとなる可能性がある。仮にドル高に振れた場合、ドル高の勢いによるがドル高・円高となりドル円相場がここから160円を試す展開は確度の低いシナリオとみる。
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