関税引き上げ延期の楽観と雇用関連統計減速で上昇
- MRA商品市場レポート
2025年2月5日 第2903号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「関税引き上げ延期の楽観と雇用関連統計減速で上昇」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は発電燃料や自国通貨建て商品や穀物・畜産品価格が下落したが、その他の商品は総じて堅調だった。
昨日発表されたJOLT求人が金融、専門・事業サービス、ヘルスケアなどで大幅に減速。求人数が減少したことで物価の上昇圧力が緩和されるとの見方が長期金利を押し下げたことが、リスク資産価格の押し上げ要因となった。
市場の材料は引き続きトランプ関税動向であり、カナダ・メキシコへの関税引き上げは、発動が1ヵ月延期されたことで同国からの米国への輸出が多い商品は下落、米国から両国への輸出が多い商品は上昇するなど、関税障壁の影響を意識した動きが見られた。
なお、中国に対する10%の関税引き上げは予定通り行われる可能性が高い。今回の関税引き上げの理由を「合成麻薬フェンタニルの製造・輸出で米国を破壊しようとしている」としているからだ。
中国政府はこの事実を認めておらず(中国が合成麻薬フェンタニルの製造・輸出をしていない、としている)、これを認めるということはメンツを重視する中国が「これまで認めていなかったことを認めて、方針を変更する」ことでありかなりハードルが高い。
何か上手い具合に理由を見つけるのかもしれないが、これまでの中国の立ち居振る舞いを考えると難しいのではないか。こうなると、中国の米国向けの輸出が減少するため、国内需要が低迷する中で外の市場に活路を見い出そうとしている中国は、「人民元安誘導して関税10%の効果を相殺する」という戦略に舵を切る可能性はある。
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