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関税引き上げは緩やか?期待によるドル安・株高で堅調
  • MRA商品市場レポート

2025年1月22日 第2893号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「関税引き上げは緩やか?期待によるドル安・株高で堅調」

【昨日の市場動向総括】

金曜日の商品市場は、液体系燃料が広く下落したが、その他の商品は上昇したものが目立った。米トランプ大統領が就任、40本を超える大統領令に署名を行ったが、関税に関しては「様子を見ながら行う」姿勢であったため、今のところ本当に関税を引き上げるというよりは、やはり交渉材料として用いる可能性が高いと市場参加者が評価したことが影響した。

以前の大統領就任時は、決めたことは全てやるというスタンスだったが、今回は比較的慎重という印象を受ける。とはいえ、メキシコ・カナダ、中国などへの関税は引き上げる方針をニュースで表明しているため、当該国が何らかの対応をしなければ2月1日から関税は引き上げられることになるのではないか。

トランプ政権の大統領令発令が商品分野に及ぼす影響は、

1.関税引き上げに伴う貿易フローの変化
2.それに伴う報復が必須資源の低流動化を招き、価格の二極化が起きる
3.パリ協定離脱に伴う化石燃料需要の増加、脱炭素系資源需要の鈍化

などが主な所だろう。1.2.はまだ顕在化していないが、3.のパリ協定からは離脱が決定している。

パリ協定離脱に関して、欧州は世界で最も温室効果ガスを排出している中国を「温暖化に対応している」として批判をしておらず、米国(や日本)を批判するのはダブルスタンダードと批判されてもおかしくない。

2030年に中国の温暖化ガス排出をピークアウトさせる計画も、人口動態のピークアウトを考えれば、自然体の排出減少であり特段対応しているとは言い難い。

ただ、今回の米国のパリ協定離脱を持って、世界的に脱炭素の流れが逆転するかと言えばそれはないだろう。今回のロシアの地政学的リスクが化石燃料供給途絶をもたらし、「特定の国・地域ヘのエネルギー依存の危険性」が再認識されていることも事実であるためだ。

全ての再エネにシフトすることはリスクが大きいが、「自国で賄えるエネルギー」という観点では普及は続くことになろう。これは米国も同様だ。


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