米国以外で進む金融引き締め解除・大幅利下げ・利下げ開始
- MRA外国為替レポート
2024年12月16日号
◆先週の市場総括
先週は日米欧の金利動向を巡る見方が変化し結果的に円安が進んだ。日銀は12月の金融政策決定会合で利上げを見送る、利上げに対して慎重なスタンス、時間をかけて状況を見極めると報じられた。
米国ではCPIが発表されインフレ鈍化の停滞を示したものの予想通りだったことから12月のFOMCでの0.25%利下げが確実視された。ただ利下げのペースダウンを示唆する発言が続き米長期金利は上昇。ドルを押し上げた。
欧州ではECBが0.25%の利下げを実施。0.50%の利下げを主張する意見もありなお利下げバイアスが強い。円が独歩安となるなかドルがひとり勝ちの様相を強めた。
ドルインデックスは前週の105ポイント台から107ポイント近辺へ上昇。ドル円相場は前週末の150円ちょうど近辺から153円台後半へ。ユーロ円相場も158円台半ばから161円台前半へ。
米国株はNYダウが軟調となる一方ハイテク株が堅調でナスダックは初の2万ドル乗せ。日経平均は半導体関連が牽引、円安が輸出関連を支え、一時4万円の大台を回復した。引けは39,500円近辺。
月曜日の東京市場では日経平均は小反発。前週末の米国株主要3指数がそろって史上最高値を更新したこと、米国で利下げ観測が強まり長期金利が低下したこと、などを好感して朝方は前週末比+200円超上昇。ただ買いは続かず。半導体関連が下落すると上げ幅を縮めた。日米の金融政策決定会合を前に様子見姿勢も強かった。引けは+69円高の39,160円。
円は軟調。とくにユーロ円相場での円安が際立った。ユーロ円相場は158円40銭で始まり157円90銭に下落していたが東証引け後から欧米市場にかけて上昇。米国市場では160円ちょうど近辺へ。引けは159円50銭。
中国で開催された中央経済工作会議で李強首相が経済下支えのため積極的な財政出動と金融緩和の方針を示し、中国景気持ち直し期待からリスク選好の円売りが強まった。ドル円相場は150円ちょうどで始まり150円手前でもみ合い。東証引け後に上昇し欧州市場では150円40銭~50銭で推移した。
米国市場にかけて一段高となり151円30銭へ上昇しもみ合い引けは151円20銭。米長期金利上昇が支えとなった。
米10年債利回りは4.203%、2年債は4.129%へ上昇。
米国株は下落。NYダウは3営業日続落、ナスダックは反落。短期的な過熱感やCPI発表を前にした利益確定売りが優勢。全般に買い手控え。NYダウは▲240ドル安の44,401ドル、ナスダックは▲123ドル安の19,736ドル。NY連銀調査(11月)では家計の期待インフレ率は前月からわずかに上昇。雇用に関してはやや慎重な見方が増した。
火曜日の東京市場では日経平均が反発。中国景気不安が後退。円安が輸出関連株の支えとなった。一方、年末を前に個人の利益確定売りも活発で上値を抑えた。引けは前日比+207円高の39,367円。
為替市場では円が軟調。ドル円相場は底固く推移。151円20銭で始まり50銭に上昇したあと夕刻にかけて150円90銭へ下落したが反発。欧州市場では151円80銭まで上昇した。
その後も151円台半ばでは底固く米国市場では152円20銭へ上昇。引けは152円ちょうど近辺。米長期金利がさらに上昇しドルを支えた。
10年債は4.23%、2年債は4.147%。
ユーロ円相場は159円50銭で始まり159円台後半で上下。夕刻から欧州市場にかけて160円ちょうど近辺へ上昇した。その後は159円台半ばに押されたが米国市場では持ち直し引けは160円ちょうど近辺。
ユーロドル相場は小動き。1.0550で始まり欧州市場にかけて1.0560へ小幅高となったがドル高に押されて米国市場では1.05ちょうど近辺へ反落。引けは1.0530。
米国株は小幅安。翌日にCPIの発表を控えて持ち高調整の売りが優勢となった。長期金利の上昇も重石。一部ハイテク株は個別の業績見通しで買われたが総じて上値は重かった。NYダウは▲154ドル安44,247ドル、ナスダック▲49ドル安の19,687ドルで引けた。
水曜日の東京市場では日経平均がわずかに上昇。台湾TSMC社の業績が予想より弱く半導体市場への楽観が後退。半導体関連株が売られて前場は一時▲250円安。ただその後は持ち直し。防衛関連が政策期待で買われ、金融関連株もしっかり。引けは前日比+4円高の39,372円。
為替市場では東京市場から欧州市場朝方にかけては円が買い戻された。ドル円相場は152円ちょうどで始まり昼頃は株価下落に応じて151円40銭近辺へ下落。その後も151円台後半では上値重く40銭~70銭で上下した。
ユーロ円相場も160円ちょうどで始まり159円40銭台へ、さらに夕刻は158円90銭へ下落した。
しかしブルームバーグ社が、日銀が追加利上げを急ぐ状況にないと認識している、と報じたことで12月利上げ織り込みが1割程度まで後退。大きく円安が進んだ。ドル円相場は152円80銭へ、ユーロ円相場は160円40銭へ急騰。
ドル円相場は152円50銭~70銭でもみ合いの後、米国のCPIが予想通りの数字となると警戒感が解消して152円割れへ下落。その後は152円半ばを中心に上下して引けは152円40銭。ユーロ円相場は160円台前半を中心に上下したあと159円60銭に下落。その後持ち直して160円ちょうど近辺で引け。
ユーロドル相場は東京市場では1.0530で始まり夕刻は1.0490へ下落し1.05ちょうど近辺で推移。米CPIを受け一時1.0530台へ戻したがすぐに反落して1.05ちょうど近辺で引け。
米国のCPI(11月)は総合指数が前年同月比+2.7%と前月+2.6%からやや上昇したが予想通り。コア指数は+3.3%で前月と変わらずこちらも予想通りだった。12月のFOMCでの利下げ織り込みはほぼ100%となった。
米国株はまちまち。ハイテク株は堅調。CPIが予想通りだったことから12月利下げ織り込みはほぼ100%となった。ナスダックは前日比+347ドル高と大きく上昇し引けは20,034ドル。史上最高値を更新し初の2万ドルの大台乗せ。ダウ採用銘柄は個別材料で上下。引けは▲99ドル安の44,148ドル。VIX指数は13.58と低位安定。
カナダ中銀はこの日金融政策決定会合を開き政策金利を3.75%から3.25%へ、市場予想通り0.50%の大幅利下げを実施した。利下げは5会合連続、かつ2会合連続の大幅利下げ。
インフレ率が目標の2%まで低下しており、これまでの高金利政策による景気押し下げ効果を解消するため景気下支えのため大幅利下げ。マックレム総裁は、トランプ政策に対する事前対応ではないが、関税の脅威は企業の設備投資判断を遅らせるリスクがある、と述べた。大幅な利下げの結果、今後の経済が予想通り推移すれば利下げは緩やかになる、とし追加利下げのコミットメントは解除。
木曜日の東京市場では日経平均が大幅続伸。米ハイテク株高を受けて半導体関連が買われ午前中に一時700円高。10月15日以来約2か月ぶりの4万円台をつけた。円安も支え。ただその後は利益確定売りに押されて上げ幅を縮小。引けは+476円高の39,849円。
ドル円相場は底固く推移。152円40銭で始まり午前中に152円割れに下落したものの反発。午後にロイター社が、日銀は円の反発で物価上昇率が抑制された状況で利上げを急がず、と前日のブルームバーグ社と同様の内容を報じた。
ドル円相場は東証引け後にかけて152円80銭へ上昇。その後は反落して欧州市場から米国市場朝方にかけて151円80銭。ただ152円割れでは底固く152円20銭~40銭でもみ合いのあと一段高となり引けは152円60銭。米長期金利上昇がドルを支えた。ユーロは乱高下のあと上値の重い展開。
ユーロドル相場は1.05ちょうど近辺で始まり夕刻は1.0530に上昇していたがその後は1.0470に下落、1.0520へ反発と乱高下を繰り返し、米国市場の引けは1.0470。ドルインデックスは107ポイントを回復した。
この日、ECBは理事会を開催し政策金利を0.25%引き下げた。預金ファシリティ金利は3.25%から3.00%へ、主要政策金利は3.40%から3.15%へ。一部メンバーからは0.50%の利下げを求める意見もあったが最終的には前回一致で0.25%の利下げを決定した。
ラガルド総裁は会見で、インフレは順調に鈍化している、成長に下振れリスクがある、と述べた。2025年のインフレ率見通し、成長率見通し、いずれも9月時点からやや下方修正した。
これに先立ちスイス中銀は政策金利を1.00%から0.50%へ0.50%大幅利下げ。11月のCPIは前年同月比+0.7%まで一段と鈍化し目標である2%以下を大きく下回っており大幅利下げを決定した。
ユーロ円相場は東京市場では160円ちょうどで始まり朝方159円60銭台に下落したが東証引けにかけて160円50銭に反発。しかし欧州市場から米国市場朝方にかけて159円10銭へ下落し乱高下。160円20銭へ上昇、159円30銭へ下落、その後は160円を一時回復し引けは159円80銭。
米国株は下落。NYダウは6営業日続落、ナスダックも反落。ハイテク株は利益確定売りに押された。利下げ観測は下支えも長期金利は上昇。10年債は4.328%、2年債は4.191%。
発表された米国の生産者物価指数(PPI、11月)は、前年同月比が+3.0%、前月が+2.4%から+2.6%へ上方修正され強めの数字。コア指数も同様に+3.4%となり前月も+3.1%から+3.4%へ上方修正された。一方、週次の失業保険申請件数は新規申請が前週の225千件から242千件へ増加、継続受給件数も1,871千件から1,886千件へ増加して弱めの数字だった。
金曜日の東京市場では日経平均が朝方から大幅反落。米株安や4万円の大台を前にした利益確定売りに押され、またSQ算出にかけた短期筋の思惑買いの手仕舞い売りもあり、朝方は一時▲600円安。円安に支えられ下げ幅を縮めたが5営業日ぶりに反落して引けは▲318円安の39,470円。
為替市場では欧州市場で円安が進んだ。ドル円相場は152円60銭で始まり昼頃は152円90銭~153円ちょうどで推移。夕刻には152円70銭に押し戻されたが欧州市場では大きく円安が進み153円70銭近辺まで上昇した。
米国市場朝方には153円30銭近辺まで押したものの底固く持ち直して引けは153円70銭近辺。
ユーロ円相場は159円80銭で始まり160円を挟んで159円80銭~160円20銭で上下横ばい。欧州市場から米国市場朝方にかけて161円50銭台まで上昇した。その後は161円ちょうどまで押されたが引けは161円30銭近辺。
ユーロドル相場は東京市場では1.0470近辺でもみ合い小動き横ばい。欧州市場では1.0490へ上昇、さらに米国市場では1.0520へ上昇し引けは1.05ちょうど近辺。
米国株はまちまち。NYダウは引き続き軟調だったが連日の下げのあとで押し目買いが支えとなった。引けは▲86ドル安の43,828ドル。ハイテク株は引き続き堅調。ただ伸び悩み引けは+23ドル高の19,926ドルで2万ドルの大台は保てず。米長期金利は前日の生産者物価指数が高めの上昇率だったこともあり小幅上昇。10年債は一時4.39%へ上昇し引けは4.342%、2年債は4.245%。
◆今週の3つの注目ポイント
1.FOMC(米連邦公開市場委員会)、パウエル議長会見
今週17日火曜日・18日水曜日の2日間にわたりFOMCが開催される。結果は日本時間19日木曜日未明4:00に公表。終了後同4:30からパウエル議長が会見を行う。
今会合ではFF金利誘導水準を現行の4.50~4.75%から4.25%~4.50%へ0.25%引き下げが確実視されている。注目は今後の利下げペース。今回はメンバーの景気物価金利予測が公表される。
9月会合での予測からどれほど利下げペース予測が鈍化するか。景気物価見通しはどうか。パウエル議長が会見であらためて何らかの示唆を行うか。
2.日銀金融政策決定会合、植田総裁会見
18日水曜日・19日木曜日の2日間、日銀金融政策決定会合が開催される。直前の相次ぐ報道で日銀が今会合での利上げを見送ると報じられ、政策金利は0.25%で据え置かれるとの見方が大勢となっている。
植田総裁は会見でどのような見方を示すか。インフレ率は2%台での推移が続き、足元では若干上昇が見込まれている。円安が止まったことで利上げを急がないと報じられているが、足元ではかえって円安が進んでいる。
政策判断や考え方はどうか。あわせてこれまでの異例の金融緩和政策の効果と副作用について分析が公表されるとみられる。利上げ継続を後押しする内容が示されるか。
3.米国の経済指標
今週は実体景気の動向を示す指標の発表が多い。景気への楽観が継続するか。
月曜日 PMI景況感指数(12月速報、製造業、予想49.8、前月49.7、サービス業、予想55.7、前月56.1)
火曜日 小売売上高(11月、前月比、予想+0.6%、前月+0.4%) 鉱工業生産(同、予想+0.2%、前月▲0.3%) 設備稼働率(予想77.3%、前月77.1%)
水曜日 住宅着工件数(11月、季節調整済み年率換算、予想1,345千戸、前月1,311千戸)
木曜日 GDP(7-9月期確報) フィラデルフィア連銀製造業景気指数(12月、予想2.4、前月▲5.5) 週次の失業保険申請件数 中古住宅販売(11月、季節調整済み年率換算、予想410万戸、前月396万戸)
金曜日 個人所得・消費支出(11月、前月比、予想+0.4%・+0.5%、前月+0.6%・+0.4%、PCEデフレーター、前年同月比、予想+2.5%、前月+2.3%、コア指数、予想+2.9%、前月+2.8%)
ほか、月曜日には欧州でもPMI景況感指数(12月速報)が発表となる。欧米格差は拡大するか縮小するか。
中国では11月の主要経済指標が発表される。
日本では水曜日に通関統計(11月)、週末金曜日には全国の消費者物価指数(CPI、11月)が発表される。総合指数は前年同月比+2.9%へ前月+2.3%から上昇するとの予想。コア指数も+2.3%から+2.4%へ上昇すると予想されている。
◆今週のMRA's Eye
米国以外で進む金融引き締め解除・大幅利下げ・利下げ開始
米国では12月17日・18日に開催されるFOMCにおいて0.25%の利下げが確実視されている。FF金利誘導水準は現行の4.50~4.75%から4.25~4.50%へ引き下げられるとみられる。
ただ、景気の底固さを背景に利下げのペースダウンを示唆する発言がFRB当局者から相次いでいることからドル金利先安感は後退。トランプ政権の景気刺激策への思惑も手伝って米長期金利は下げ渋り、先週はやや上昇してドルを支えた。
ドルインデックスは105ポイント台に低下していたが107ポイント近辺へ反発している。トランプトレードのなか11月下旬には108ポイント台まで上昇し、その後調整していたが、総じて高止まりといってよい状況だ。
ドルインデックスはユーロドル相場の影響が大きく、裏側でユーロ安ドル高が進んだこと、あるいは他の通貨がドルに対して下落したことが大きい。このところ米国以外の先進各国で金融緩和スタンスが明確となっていることが背景にある。
先週はカナダ中銀が水曜日の金融政策決定会合で政策金利を3.75%から3.25%へ、市場予想通りではあるが0.50%の大幅利下げを実施した。
利下げは5会合連続、かつ2会合連続の大幅利下げ。インフレ率が目標の2%まで低下しており、これまでの高金利政策による景気押し下げ効果を解消するため景気下支えのため大幅利下げと説明された。
マックレム総裁は、トランプ政策に対する事前対応ではないが、関税の脅威は企業の設備投資判断を遅らせるリスクがある、と述べた。
大幅な利下げの結果、今後の経済が予想通り推移すれば利下げは緩やかになる、とし追加利下げのコミットメントは解除。ただトランプ関税の悪影響が顕在化した場合には利下げが深まる可能性もあろう。トランプトレードによるドル高の流れのまま、カナダドルは対米ドルで年初来安値を更新している。
ECBは木曜日の理事会で0.25%の利下げを実施した。預金ファシリティ金利は3.25%から3.00%へ。利下げは3会合連続。最終的には全会一致だったが0.50%の大幅利下げを主張する意見もみられた。
インフレは着実に鈍化しており、一方で景気には下振れリスクがあるとの認識が背景だ。ECBは景気物価見通しを9月時点の数字から下方修正。2025年の成長率は+1.3%から+1.1%へ、インフレ率は+2.2%から+2.1%へ修正した。こうした状況から次回会合でも利下げが実施される可能性は高い。
ユーロドル相場は軟調ながら比較的底固さはみせているが、次第に1.05割れで定着しそうだ。
スイス中銀は同日に大幅利下げを実施した。政策金利は1.00%から0.50%へ。市場では0.25%の利下げ予想もあり市場の見方は割れていたが、結果は0.50%の大幅利下げとなった。政策金利の水準は日銀の0.25%に接近し、仮に日銀が0.25%利上げを実施すれば0.50%で並ぶことになる。
スイスではインフレ率が低下基調にある。11月のCPIは前年同月比+0.7%まで低下。インフレ目標は2%未満だがこれを大きく下回った状態だ。
2025年のインフレ率予測は現時点で+0.3%としており、市場は今後も利下げを継続しゼロ金利政策に達するのではないかとの見方が優勢だ。
中銀は、今回の大幅利下げがなければインフレ率見通しはさらに低くなっていた、としている。金利の絶対水準、さらに利下げ継続姿勢を受けて、スイスフランは10月以降の対ドルでの下落基調をさらに強めている。
オーストラリアでは10日火曜日にオーストラリア準備銀行(RBA)が金融政策決定会合(理事会)を開催し政策金利を4.35%のまま据え置いた。ここまでRBAはコアインフレ率の低下が十分ではないとしてきたがGDPは予想外に悪化。今会合の声明文では、政策は十分に制限的である必要がある、とのタカ派的な文言が削除された。
加えて、理事会はインフレ率が目標に向けて低下しつつあると確信している、と記した。
RBAのブロック総裁は会見で2月の会合で利下げに踏み切るかを問われたがわからないと述べた。しかし経済急減速やインフレ鈍化を受けて、市場では2月の利下げを6割弱、4月までの利下げはほぼ100%織り込んだ。
オーストラリアは政策金利を引き上げたまま据え置いてきたが、ようやく利下げに踏み切ろうという姿勢を示した。
一方、新興国では通貨安にともなうインフレ悪化に応じてなお利下げがみられる。11日水曜日にブラジル中銀は政策金利を11.25%から12.25%へ1.00%大幅利上げを実施した。ブラジルレアルは対ドルで史上最安値を更新。通貨安がインフレを亢進させる状況に対処すべく、さらに2会合続けて利上げ実施も辞せぬ構えだ。
そうしたなか、日銀は今週18日・19日の金融政策決定会合で利上げを見送るとの観測記事が報じられた。これを受けて大きく円安が進み、ドル円相場は150円ちょうどから153円台後半へ急騰。
日銀は、円安が一服しており、また春闘の賃上げ動向を見極めたい、としているが、そうした見方とは裏腹に円全面安が急速に進んだ。市場では利上げ催促相場の様相を呈しているが、最終判断はどうか。
内外金利差は一段と縮小しつつある。スイスと日本の政策金利がほぼ同水準となり、また他の先進国金利も低下基調を一段と強めたことで円独歩安の修正は続きそうだ。
ただ米国の景気物価動向は堅調に推移。FRBの利下げペースダウンが確実となってきた。12月の声明やメンバーの見通しがタカ派に修正されるか。ドル独歩高ともいえる状況が続くなかでは対ドルでの円安修正は緩慢にとどまりそうだ。
主要指標は、有料版「MRA外国為替レポート」にてご確認いただけます。
【MRA外国為替レポート】について