トランプトレードの一巡・ドル安で買い戻し
- MRA商品市場レポート
2024年11月8日 第2841号(簡易版)商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
【昨日の市場動向総括】
「トランプトレードの一巡・ドル安で買い戻し」
昨日の商品市場は総じて堅調な推移となった。トランプトレードを意識したドル高の急速な進行が一昨日見られたがその動きが行き過ぎとして調整のドル売り圧力が強まったことを材料に、広くドル建て資産が買い戻される流れとなった。
固有の材料、というよりはファイナンシャルな要因を材料とした上昇と見るのが妥当。
なお、注目していた中国の貿易統計は輸出が加速、輸入が減速。輸出が前年比+12.7%(市場予想+5.0%、前月+2.4%)、輸入が▲2.3%(▲2.0%、+0.3%)となり、輸出が大幅に増加、輸入が減速した。一時進んでいた人民元高が一連の金融緩和などで人民元安に振れたことが影響したとみられる。
中国の「安売りの指標」の1つである鉄鋼製品のトンあたり輸出価格は699ドル(前月720ドル)と人民元安再度進行と相まって大幅に低下している。
人民元安が進行し、購買力が低下したこともあるが、輸入は減速しており、家電製品買い換えなどの経済対策の効果も一巡、やはり同国の国内需要は低迷しているとみるのが妥当だろう。
輸出の増加が顕著なのは欧州とアセアン諸国である構図は変わらず、年初来累計は+10.8%(1-9月期+10.2%)と残り2ヵ月の中で大幅な伸び。減速していた米国向けも+3.3%(+2.8%)と増加している。人民元安の影響だろう。
今後、トランプ政権誕生の中で中国に対する関税は更に引き上げが予想されること、習近平は人民元安を良しとしないことから、人民元高バイアスが再度強まる可能性が高い事を考えると、今後、輸出が堅調に増加するかどうかは不透明ではある。しかし当面は、中国の安売り品がアジア地区に以前よりは流出しやすくなると予想される。
一方で輸入も低迷が予想されるため、同国の国内景気回復のためにはやはり需要創出となる財政政策が必要になる。
まだトランプ大統領が誕生した訳ではないのでしばらくは思惑が価格を動かすことになるだろう(ファイナンシャルな要因)。また、地政学的な面も、今まで米国と対立していた国も、していなかった国も様子を見ると考えられ、しばらく沈静化するのではないだろうか。
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