ドル高受け恐らく投機のポジション解消で下落
- MRA商品市場レポート
2024年11月11日 第2842号(簡易版)商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「ドル高受け恐らく投機のポジション解消で下落」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は総じて軟調な推移となった。まず、トランプ・トレードが再び意識される中で米利下げ観測が後退、ドルが反発したことがファイナンシャルな面で価格を押し下げることとなった。
期待が先行しやすい米株式市場は企業業績改善期待で上昇、しかし、株高を受けたリスク選好はその他の市場には波及しなかった。背景に11月末のファンド決算を控えて、このタイミングから新たに「流動性の低い市場でポジションを新規に取りたくない」「新規のポジションテイクはトランプ大統領が就任する来年以降でも良いのでは」と考える市場参加者が多いためと考えられる。
なお、トランプ候補が勝利したからといって、今現在、現物の需給バランスを大きく変化させる材料が出てきたという訳ではなく、しばらくは期待先行によるファイナンシャルな要因が価格を動かしやすい。
やや気になるニュースとしては、トランプ次期大統領が懸念通りライトハイザーに次期通商代表就任を打診したとのこと。プラザ合意2.0の懸念が強まることになる。ただ、トランプ候補の政策は「全てにおいて米国が良いとこ取りができる」矛盾に満ちたものであり、どうやって整合性をとって行くのか、正直よくわからない。
その意味で、昨日大きく下げたのは非鉄金属。正に中国政府の対策実施期待先行によって投機筋が価格を押し上げていたと考えられる為。注目されていた全人代常務委員会でも、地方政府の隠れ債務の借換促進(サドンデスを回避)の動きは見られたが、追加の景気刺激策は見送られた。
現在、仮に景気を刺激したとしても政府が積極的に関与できるのは、インフラなどの新規投資を促す政策だが、更に供給過剰状態を作っても仕方がない。消費を刺激するための家電製品買い換え策も既に実施済みであり、数年の需要を先食いしている。
とはいえ、バランスシート不況の中では中央政府が何らかの需要を創出する必要があるため、実際に行われるとすれば2025年度予算からにならざるを得ないだろう。
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