トランプ候補勝利によるドル高で総じて下落
- MRA商品市場レポート
2024年11月7日 第2840号(簡易版)商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「トランプ候補勝利によるドル高で総じて下落」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は総じて軟調な推移となった。注目の米大統領選挙は事前調査では「拮抗」とされていたが蓋を開けてみれば共和党の圧勝となり、トランプ候補が掲げていた公約(減税、関税強化など)を材料にインフレへの懸念が強まり、ドル高が進行したことが広く価格を押し下げることとなった。
株は純粋にトランプ候補勝利に伴う減税などの期待で顕著に上昇しているが、同時に金利も上昇しているためこのご祝儀的な相場上昇がどこまで続くかは不透明である。
トランプ次期大統領は選挙の勝利演説で、サウジアラビアやロシアを越える化石燃料に生産国になる、と宣言しており、基本的にはバイデン政権かで制限されていた原油生産やLNGの輸出は容易になると予想され、中期的には原油価格に下押し圧力が掛かりやすくなる。また、昨晩の下落はその他の商品と同様、ドル高進行がかなり強く影響した。
非鉄金属は中国の景況感がほぼ中立~やや強気(経済対策期待)の状況ではあるが、ドル高進行とトランプ候補勝利による対米輸出減少懸念が価格を下押ししている。
金はドル高進行と、「トリプルレッド」となったことで政治の先行き不透明感が後退したことでリスク・プレミアムを低下させる形で大きく下落する展開となった。
結局、今回の選挙結果は欧州でも見られている「リベラルの敗北」であり、トランプの勝利という訳ではない。実際、これまで民主党を支持してきたと思われる若年層や黒人、ヒスパニック票は共和党・トランプ陣営に流れた。
また、民主党の支持層と考えられていた低所得者層はトランプ支持に回り、高所得者層はハリス支持に回っている。即ち、インフレによる貧富の差拡大、バイデン・ハリス政権で加速した不法移民の流入で、ブルーカラー的な米国民が割を食い、トランプ支持に回ったということだろう。
高所得者層は職を奪われることもないし、インフレだとしても資産を持っているからさほど困らない、とういうことだ。この状態で理想を追求すれば、国民が着いてこないのは不自然ではない。
ニューヨークタイムズは社説で、「民主党の敗北は、自分たちの進歩的なアジェンダが、有権者を遠ざけていることに気付くのが遅すぎた」と指摘している。
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