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年内最大の山場を迎える金融市場
  • MRA外国為替レポート

2024年11月4日号

◆先週の市場総括


先週は国内では総選挙で与党が大敗。景気浮揚策への傾斜、日銀への金融緩和維持圧力、などを想定。株式市場はイベント一過や政策好感で、選挙前の急落を取り戻すかたちで株価急騰。

一方、為替市場では金融緩和継続、利上げ遅延を織り込み、週初に円安に振れた。

ドル円相場は154円手前まで上昇、ユーロ円相場も166円へ。ただその後は円安一服。日銀金融政策決定会合では予想通り金融政策は維持となったが、市場の期待とは裏腹に利上げに前向きな姿勢がみられ円が反発。

米雇用統計は弱い数字だったこともありドル円相場は週末にかけて一時151円台に下落する場面もあった。ただ米長期金利の上昇基調が続きドルを支え週末は153円ちょうど近辺。ユーロ円相場は165円台後半。

米国株は景気楽観見通しが支えとなったが個別決算で上下。良好な決算でも期待外れとなった銘柄は大きく下落。ハイテク関連株の下落が目立った。こうした動きは日本株へも波及。日銀の利上げ継続姿勢、個別企業の期待に満たない決算、などから日経平均は週末に1,000円を超える急落となり、選挙後の急騰をすべて吐き出して38,000円ちょうど近辺で取引を終えた。

月曜日の東京市場では日経平均が大幅反発。総選挙の結果、与党が過半数割れとなり、当初は国内政治不安定化を懸念して売り先行となった。しかし事前に予測が報じられていたことで織り込み済みだったことでイベント通過の買い戻しが優勢に。

国民民主党が躍進し、パーシャル連合への期待、所得増加政策への与党の歩み寄り、景気浮揚期待が株価の支えとなった。金融緩和継続への思惑などで円安が進行したことも支え。引けは前週末比+691円高の38,605円。

為替市場では寄付きから円安に振れて始まった。ドル円相場は153円ちょうど近辺で始まり152円台後半~153円で高下したのち153円90銭まで上昇。ただその後、欧州市場にかけて円安は一服し152円40銭台へ下落した。

米国市場にかけては152円台半ばで上下したあと米国市場では米長期金利上昇が支えとなり153円台前半でもみ合い。引けは153円30銭。

ユーロ円相場は165円40銭で始まったあと164円70銭に下落するなど乱高下ののち166円ちょうどまで上昇した。欧州市場にかけては反落し165円40銭~80銭で上下したあと164円90銭に下落。米国市場では持ち直して165円80銭近辺で引けた。

ユーロドル相場は1.08ちょうどで始まり夕刻は1.0780。その後反発して欧州市場から米国市場にかけて終始1.0810~20でもみ合い引けた。

米長期金利は一時低下したものの反発し週末より高い水準。10年債は4.282%、2年債は4.137%。米国株は主要3指数とも上昇。原油安が景気敏感株を押し上げた。NYダウは前週末比+273ドル高の42,387ドル、ナスダックは+48ドル高の18,567ドル。原油価格WTI先物は中東情勢への懸念後退で67.38ドルへ下落した。

発表されたダラス連銀製造業景気指数(10月)は前月▲9.0から▲3.0へ改善した。

火曜日の東京市場では日経平均が続伸。引き続きイベント通過と政策期待が牽引。国民民主党の減税・社会保険料軽減など景気対策、実質賃金引上げ策、消費下支え期待が強まった。

株式市場に逆風となる政策の封印や、景気対策との関連で日銀に緩和継続圧力が強まるとの見方も。引けは前日比+298円高の38,880円。

東京市場の為替相場は円安一服。ドル円相場は153円30銭で始まり上値重く153円を挟んで上下動。15時は152円70銭台まで下落した。その後、夕刻から欧州市場にかけては再び円安が進み欧州市場では153円80銭台。

米国市場朝方の雇用関連指標が弱かったことで153円ちょうど近辺に反落したが一時的でその後は153円台半ばを中心にもみ合い引けは153円40銭。

ユーロ円相場も同様の値動き。165円80銭で始まり午後には10銭台まで下落。ただその後は反発して欧州市場では166円ちょうどへ。その後米国市場にかけては165円台後半で上下して引けは165円80銭。

ユーロドル相場は1.0810近辺でもみ合い横ばい。欧州市場では1.08を挟んで上下した後、米国市場では1.0810~20で推移して引けた。

米長期金利は小幅低下。10年債は4.256%、2年債は4.100%。雇用動態調査(JOTLS求人数、9月)が7,443千人と前月7,861千人(8,040千人から下方修正)から減少。労働市場の緩和が進んでいることを示した。

米国株はまちまち。NYダウは前日比▲154ドル安の42,233ドル。景気減速懸念から消費関連、景気敏感株が売られた。一方ハイテク株は堅調。ナスダックは+145ドル高の18,712ドルで引け。米消費者信頼感指数(10月)は前月98.7から108.7へ予想以上に改善した。

水曜日の東京市場では日経平均が続伸。米ハイテク株の上昇が牽引し半導体関連株が軒並み上昇。一方、決算業績見通しで明暗も分かれた。引けは前日比+373円高の39,277円。

ドル円相場は153円40銭で始まり朝方153円ちょうど近辺へ下落する場面もあったが夕刻にかけては153円20銭~40銭で上下動。欧州市場に入ると152円80銭に下落し153円を挟んで上下したが、米国時間朝方の雇用関連指標が強めだったことから153円40銭台へ戻した。

その後は一時153円を割る場面もあったが153円40銭近辺でもみ合い引けた。

発表された米国のGDP(7-9月期速報)は前期比年率+2.8%と前期+3.0%から減速したが、個人消費が+3.7%と前期+2.8%から加速して全体を支えた。

消費支出価格指数(PCE、コア、前期比年率)は+2.2%と前期+2.8%から上昇率が大きく鈍化した。

ADP雇用報告(10月)は前月比雇用者数増減が+233千人と予想+110千人を大きく上回る強い数字となった。

米長期金利は上昇。10年債は4.300%、2年債は4.174%。ドルを支えた。

一方欧州でも発表された数字は強め。ユーロ圏GDP(7-9月期速報)は前期比+0.4%、前年同期比+0.9%となり前期から加速し予想を上回った。

ユーロドル相場は東京市場では1.0820でもみ合い横ばい。欧州市場では1.0840に上昇、その後押し戻されたが再度1.0860へ上昇してもみ合い引けた。

ユーロ円相場は165円90銭で始まり80銭近辺でもみ合い。欧州市場では165円50銭~166円20銭で大きく上下し方向感は定まらなかったが、米国市場では166円60銭近辺へ上昇し166円台前半で上下して引けは166円50銭。

米国株は下落。発表が続く決算や業績見通しを受けてまちまち。大手ハイテク決算の発表を前に売りが優勢。半導体関連銘柄全般に売りが広がった。NYダウは前日比▲91ドル安の42,141ドル、ナスダックは▲104ドル安の18,607ドルで引け。

木曜日の東京市場では日経平均が4営業日ぶりに反落。米半導体株安を受けて軟調。円高に振れたことで海外短期筋が先物売り。前日までの上昇の反動もあり一時▲400円安。決算発表を受け個別銘柄の売買中心。▲196円安の39,081円。

引け後の日銀植田総裁の会見を受けて時間外に先物中心に下落した。

為替市場では日銀金融政策決定会合、および植田総裁の会見を受けて夕刻にかけて円高が進んだ。

会合では予想通り政策金利は据え置き。ただ公表された展望レポートでは25年のインフレ見通しがやや下方修正されたもののリスクは上向きとされた。個人消費は緩やかに増加基調と上昇修正された。

また政策判断に時間的余裕があるとの文言は削除された。市場ではこうした内容をタカ派と受け止めた。また植田総裁は景気物価見通しが予想通りなら時期は未定ながら利上げを実施すると述べた。

円安や米景気の底固さから下振れリスクが低下しており時間的余裕があるとの文言を削除したとした。

ドル円相場は153円40銭で始まり20銭~60銭で上下していたが結果を受けて152円80銭に下落。その後やや反発したが会見後に152円ちょうどに下落し60銭に反発したがその後に一時151円90銭に下落した。

欧州市場から米国市場にかけては持ち直し152円80銭近辺から153円。その後米国市場では米長期金利低下に押され151円80銭台まで下落してもみ合い引けは152円ちょうど近辺。

ユーロ円相場は166円60銭で始まり昼には165円80銭へ下落。さらに会見後には165円ちょうどに下落した。欧州市場では166円手前まで反発したが反落して米国市場では165円ちょうど、引けは持ち直して165円50銭。

ユーロドル相場は1.0860で始まり1.850近辺でもみ合い。欧州市場では1.0880に上昇し1.0850~80で上下して引けは1.0880へ小幅高。

米長期金利はやや低下。10年債は4.282%、2年債は4.170%。

発表された米国の経済指標は強弱まちまち。個人所得・消費支出(9月)は所得が前月比+0.3%と前月+0.2%から伸びが上昇、支出も+0.3%から+0.5%へ。消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前年同月比+2.1%と前月+2.2%から小幅低下したが、コア指数は+2.7%で不変。

失業保険新規申請件数は216千件と前週227千件から小幅減少。

一方、シカゴ購買部協会景気指数(10月)は前月46.6から46.9への改善予想に反して41.6へ悪化した。

米国株は大幅安。大手ハイテク関連株、半導体関連株が大幅安。ナスダックの下げがきつかった。決算が予想を下回り過剰な期待が剥落したかたち。NYダウは前日比▲378ドル安の41,763ドル、ナスダックは▲512ドル安の18,095ドル。

金曜日の東京市場では日経平均が急落。前日の米国株が半導体ハイテク関連を中心に大幅安となり、日本の半導体関連株にも売りが波及。日銀の追加利上げへの思惑も重石となった。個別には決算発表を受けて上下も、全般に期待を下回る決算業績見通しとなり下げが加速した。引けは▲1,027円安の38,053円。

ドル円相場は底固く推移。東京市場から欧米市場にかけて終始ドルが堅調だった。152円ちょうど近辺で始まり一時151円80銭に下落したものの10時以降は堅調に推移して東証引け頃には152円60銭。その後20銭へ押したが反発して欧州市場から米国市場朝方にかけては152円60銭~80銭で推移した。

注目の雇用統計(10月)は非農業部門雇用者数前月比が+12千人と極めて弱い数字となり前月も+254千人から+223千人へ下方修正された。

これを受けて一時151円80銭へ急落したが、ハリケーンによる一時的な悪影響との解釈やその他の数字を総合すると景気は底固いとの見方で急反発。米長期金利上昇に支えられドル円相場は153円ちょうどへ上昇して引けた。

失業率は4.1%で前月と変わらず。平均時給は前年比+4.0%と高い伸びのままだった。

ISM製造業景気指数(10月)は前月47.2から47.6へ改善予想に反して46.5へ悪化。ただ雇用指数は43.9から44.4へ、新規受注指数は46.1から47.1へ改善した。

10年債利回りは雇用統計直後に一時4.22%に低下したがその後反発して4.386%へ上昇。2年債は4.212%へ上昇。

ユーロドル相場も1.0880で始まり東京市場から欧米市場にかけてユーロ安ドル高基調。雇用統計で一時1.09ちょうどへ上昇した場面もあったが引けは1.0830台。

ユーロ円相場は165円50銭で始まり夕刻は165円90銭~166円ちょうど近辺で推移。その後は165円台後半で上下。雇用統計でドル安円高に振れた場面では165円40銭に下落したがすぐに166円ちょうど近辺へ反発して引けは165円70銭。

米国株は上昇。NYダウは4営業日ぶりに反発。雇用統計は弱い数字だったがハリケーンの影響とみなされ、米景気全般は堅調との見方は変わらず。決算を手掛かりに買われる銘柄もみられた。NYダウは前日比+288ドル高の42,052ドル、ナスダックは+144ドル高の18,239ドルで週末の取引を終えた。

◆今週の3つの注目ポイント


1. 米大統領選挙・議会選挙

5日火曜日に米国で大統領選挙、上下院議会選挙が行われる。トランプ氏とハリス氏の接戦が続いているが、最近はハリス氏の支持低下、トランプ氏優勢と伝えられ、市場はトランプ政権の誕生による景気浮揚・インフレ圧力の高まりを織り込んでいるようだ。米長期金利は大きく上昇しドルを押し上げている。

リスクはハリス氏が当選した場合(市場がトランプ優勢を織り込んでいるため、リスクシナリオとなる)。

市場の急変動には留意。議会選挙は上下院とも共和党との見方が大勢。こちらも同様。ハリス氏が大統領、両議会が共和党、とねじれれば、米国株、ドル、はネガティブな反応となる。

2.FOMC(連邦公開市場委員会)、パウエル議長会見

米国の選挙結果が判明した直後、6日水曜日・7日木曜日の両日にわたりFOMCが開催される。このところ米国景気への楽観が強まっていたことから、年内利下げの織り込みは0.25%が1.5回程度と1回か2回で相半ばに見方が割れている。

ただベージュブックでの慎重な景気物価判断を受けて11月も予防的に0.25%の利下げを実施するとの見方がやや優勢。インフレは総合指数では低下しているが、コア指数では下げ渋っており、雇用の判断がハリケーンの影響で難しいなかどう動くか。政策そのものに加えて判断の根拠、パウエル議長の会見にも注目が集まる。

3.米国の経済指標

火曜日にISM非製造業景気指数(10月、予想53.5、前月54.9)、水曜日にサービス業PMI(10月改定値、速報55.3)、木曜日に週次の失業保険申請件数、金曜日にミシガン大学消費者態度指数(11月速報、予想70.6、前月70.5)が発表される。サービス業の景況感に陰りがみえるか注目される。

ほか、木曜日にイギリス中銀が金融政策決定会合を開催し政策金利を5.00%から4.75%へ引き下げると予想されている。

国内では11月11日に特別国会召集・総理大臣指名選挙を実施するとみられ、週内は与野党の政策協議に注目が集まる。株価や円相場の反応はどうか。

◆今週のMRA's Eye


年内最大の山場を迎える金融市場

日本の総選挙、さらに日銀金融政策決定会合という国内の政治・金融政策イベントが終わった。今週はいよいよ米国に舞台が移る。火曜日の米大統領選挙・議会選挙、さらにFOMCが水曜日・木曜日の両日に開催され、相場イベントとしては年内最大の山場を迎える。いずれも結果が不透明であり、市場が大きく揺さぶられる可能性がある。

日本の総選挙の結果は与党大敗という激震となり、今なおその余震が続いている。ここまではイメージや懸念として相場に織り込まれてきたが、ここからは具体的な政策をもとに再評価が始まる。

現時点ではいずれの少数野党も連立与党入りを拒否していることから、自民・公明は少数与党のままとなるのが確実な情勢。政策ごとの与野党協議が必須だ。

まずは来週11日とされる特別国会において首相指名投票が実施される。ここでは相対多数で石破首相が続投となるとみられている。そのうえで、予算協議が始まるなか、具体的には国民民主党のどの政策をどの程度組み込んでいくのか。

低所得層や若年層を支えるミクロ施策、財政支出が中心ではあるが、マクロでみれば財政拡張、主張としては金融緩和維持、という政策基調。組み合わせはアベノミクス、金融緩和・財政拡張、という組み合わせに近い。市場が円安で反応するのも首肯できる。

ただ金融政策については趣が異なる。

日銀総裁はすでに黒田総裁から植田総裁に代わっている。アベノミクス当時のような政府と日銀の蜜月関係はない。植田総裁にはさほど政治への忖度はないように伺える。

自民党総裁選から総選挙にかけて与党から日銀への利上げ牽制発言がみられ、総選挙での与党過半数割れ、国民民主党の躍進を受けて、日銀の利上げが困難になったとの見方が強まった。

市場のみるリスクバイアスは利上げ遅延サイドに傾いた。しかし日銀金融政策決定会合ではその市場の思惑とは真逆のリスクバイアスが示された。

すなわち、前回までは、利上げ検討を急がないとのニュアンスで、時間的余裕がある、との文言が使われていたが、今回は削除された。円安の進行や米国景気の不透明感が緩和したことが背景と説明されている。

利上げ実施に前向きなトーンとなり、リスクバイアスはタカ派寄りとなった。焦点は12月の金融政策決定会合へ。その間の政治サイドからの発言や干渉がどれほどか。実質的には発言に影響力はないと思われるが、市場が一時的にせよ思惑で反応する可能性もあるので留意は要する。

米国では大統領選挙・議会選挙の結果の織り込みが進んできた。大統領選は接戦が続いているが、終盤でトランプ氏優勢との見方に傾いた。議会選挙は共和党が上下院とも優勢との見方が強まり、いわゆるすべて共和党が制するトリプルレッドとの見方が最も有力となっているようだ。

ただここにきてわずかな「失策」が結果を左右する可能性もある。市場の現時点での織り込みからみて、リスクはトランプ氏が敗れた場合の方が大きそうだ。

ここにきて際立つのは米長期金利の上昇。トランプ政権誕生なら、財政支出拡大などの景気刺激策、輸入関税強化や移民抑制、など総じてインフレ圧力が高まる政策がとられるとの見方が根強い。

結果、リスクプレミアムの上昇を主因として、とくに期間の長い債券が売られ長期金利が上昇している。10年債利回りは4.4%に迫っている。

こうした流れが選挙後に一服するか。予想外にハリス氏が当選した場合には、このところのドル高を支えてきた米長期金利が一気に低下する可能性があるので留意が必要だろう。

さらに具体的な政策がどうなるか、その影響がどの程度かは、来年の就任後にならなければわからない。トランプ氏勝利を織り込んで市場が思惑で動くのもひとまず選挙までという可能性もある。

今週の締めはFOMCだ。今回は0.25%の利下げか据え置きか、市場の判断は分かれる。年内利下げ幅は、9月のFOMCにおけるメンバー予測でも割れていた。0.50%が中央値だったが0.25%をわずかに上回る程度。

その後の強めの指標や米国景気への楽観、ソフトランディングへの期待、利下げを慎重に実施するとのFRB当局者発言から、市場は1回~2回の中間から、やや1回に傾く場面もあった。ここにきてやや2回が盛り返した程度だ。

政策判断の基礎となる経済指標の評価が難しい。景況感は、製造業、サービス業、ともに大きな変化はない。製造業は低空飛行、サービス業は底固い。雇用情勢や個人消費も底固さを示す。雇用に関しては悪い数字でもハリケーンの影響がどの程度か読みにくい。

物価は総合指数はインフレ低下基調の継続を示すが、肝心のコア指数の上昇率は下げ渋っている。こうしたなかで利下げの判断は難しい。

強いて言えば、現在の金利水準はなお景気抑制的であり、利下げしないリスクとするリスクを比べた場合、なお利下げしないリスクがやや上回る状況か。予防的な利下げを実施する可能性は高そうだ。そのうえで、焦点は次第に個人消費動向、今月下旬から始まるクリスマス商戦の動向に移る。

市場のリスクとしてはいくつかのパターンが想定される。仮にトランプ氏が当選し、さらに金利据え置きとなった場合、米長期金利の上昇が加速する可能性がある。この場合はドルがさら上昇するリスクがある。ドル円相場が155円超に上昇する場面もありそうだ。

一方、その対極にあるのが、ハリス氏当選、利下げ実施の組み合わせだろう。最近強まってきた市場の織り込みの真逆だ。この場合ドル円相場は150円割れに下落する可能性が高い。

トランプ氏当選、利下げ実施、の場合は、市場の織り込みとイベント通過で、現状維持かややドル安円高に水準を切り下げるかたちか。株価動向も含め、なお波乱の展開、ボラティリティの高い局面が続くとみられる。


主要指標は、有料版「MRA外国為替レポート」にてご確認いただけます。
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