株買い戻しで上昇もCPIを受けたドル高で上げ幅削る
- MRA商品市場レポート
2024年9月12日 第2800号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「株買い戻しで上昇もCPIを受けたドル高で上げ幅削る」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は自国通貨建て商品が下落したが、その他の商品は軒並み水準を切り上げる動きとなった。最も上昇したのがココア(詳しくは農産品のコラムを参照ください)。
これまでの景気減速観測の強まりで株は大きく調整(と言っても、半導体セクター株の見直しが下落の切っ掛けだったと考えられるが)してきたが、さすがに調整しすぎで割安感が出た銘柄に買い戻しが入った。
この数週間の商品セクターの動きは株価が下落することに伴う調整売りの可能性が高く、株価が戻る中ではあまり需給ファンダメンタルズとは関係無く買われる傾向がある(特に景気循環系商品)。
しかし、昨日は注目の米CPIでコアCPIの上昇が市場予想を上回ったため、FOMCでの▲50bp利下げ観測が後退、ドル高が進行したことで上げ幅を削った。
昨日の米CPIは総合指数が前月比+0.2%(市場予想+0.2%、前月+0.2%)、前年比+2.5%(+2.5%、+2.9%)、コア指数が前月比+0.3%(+0.2%、+0.2%)、前年比+3.2%(+3.2%、+3.2%)と市場予想通りだったが、コア指数は前月比ベースで上昇ペースを加速させている。
内訳を見ると消費者物価に対して影響が大きい住宅価格指数が前月比+0.3%(前月+0.2%)、前年比+5.2%(+5.2%)と伸びを加速させたことが影響していると見られる。
昨日の米大統領候補の討論会では、トランプ候補は特段コメントをしていないが、ハリス候補は若年層の住宅取得支援策について言及した。
このことは、コロナ以降の働き方の変化や資材価格の高騰で、住宅セクターの需給はまだタイトであることを示唆している(一方で商業用不動産セクターはかなり厳しい状態が続く)。
商品市場が株や為替といった「その他の材料」で動いているため、当面落ち着かない展開が予想されるが、そもそも年後半~年初に掛けて景気が減速、春先から底入れして回復する見通しである中では、特に景気循環系商品価格が下落するのは自然な流れである。
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