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ドル高・中国統計悪化で景気循環系商品売られる
  • MRA商品市場レポート

2024年9月11日 第2799号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「ドル高・中国統計悪化で景気循環系商品売られる」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は自国通貨建て商品と農産品が上昇したが、原油や非鉄金属などの景気循環系商品は軒並み水準を切り下げた。

これらの商品価格に対する説明力が高い株価が米国時間に急落、同時にリスク回避のドル高が進行したことが広く価格を押し下げる流れとなった。また、アジア時間に発表された中国の貿易統計が、同国の苦境を示す内容だったことも特に鉱物資源価格を押し下げる流れとなった。

現在、景気の減速と価格の下落を背景に、原油も金属も生産調整が起きている(鉄鋼製品は中国の事情で減産が進まず。詳しくは鉄鋼・鉄鋼原料のコラムをご参照ください)。景気が減速・後退する局面によく見られる動きである。

現在、株式市場で景気への悲観的な見方が強まり、リセッションやショック入りが強く意識されているが、改めて主張したいのは「そもそも年末にかけて景気は減速する」見通しだった事だ。商品市場の動きを見るに足下の価格下落はこの見通しに沿った形で発生しており、違和感はない。

ただ、株が想定以上に買われていたことによるトリクルダウン効果で商品価格が過度に上昇していたことも否めない事実であり、想定以上に価格が調整していることは受け止めざるを得ない。

今のところショック発生はリスクシナリオの位置づけであるが、景気の底入れのタイミングはQ125にずれ込む可能性が高い。もしそうなるとショック発生のリスクはまだ半年以上続くことを意味する。

仮にQ125にショックが発生した場合、過去のショック発生から通常状態に戻るまで9ヵ月程度掛かっていることを考えると、市場や経済が通常の状態に戻るのはQ126、ということになる。

あくまでリスクシナリオではあるものの商業用不動産問題、それを引き金とする信用収縮などのリスクはまだ排除されていない点は忘れてはならない。


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