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リビア供給停止、ロシア攻撃で原油・ガス価格上昇
  • MRA商品市場レポート

2024年8月27日 第2788号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「リビア供給停止、ロシア攻撃で原油・ガス価格上昇」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は欧州主要市場が休場だったが、オープンしている市場は高安まちまちとなった。ジャクソンホールシンポジウムでのFRB議長発言を受けた利下げ期待が高まる中、金曜日の市場は軒並み水準を切り上げる商品が多かったが、昨日は金曜日の反動と、中東・宇露の地政学的リスク、リビアの供給停止、米耐久財受注が市場予想を上回ったことによるドル高進行が価格を押し下げる形となった。

もちろん中東情勢不安は原油価格上昇に寄与したと考えられるが、中東情勢不安以上に、具体的に供給が停止したリビアの問題の方が昨日の原油価格押し上げに寄与したと考えるのが妥当だろう。

中東情勢はヒズボラがイスラエルに対して報復を行うとみられていたが(ある意味既定路線)、予想外にイスラエルが先制攻撃を行ったため、サプライズとなった。攻撃は継続するといった主旨の発言をしているが、ヒズボラの指導者、ナスララ師は報復は終了としており、これ以上の事態のエスカレーションは体力的にも望んでいないと考えられる。

一方ロシアはウクライナのエネルギー輸送の要衝をドローンとミサイルで攻撃、そもそもロシア軍はウクライナの電気系統に積極的に攻撃を行ってきており、このままでもウクライナの越冬が厳しい(1日5時間を越える計画停電の可能性など)状態にあり、その戦意を削ぐためにエネルギー設備を攻撃していると考えられる。

今年はラニーニャ現象の影響で厳冬の可能性もあり、ウクライナ情勢はこの冬が山場になるかも知れない。

一方、金融市場は米利下げ確定観測を受けて安心感が漂っているが、追加利下げの幅やペースはデータ次第としており、金融政策がビハインド・ザ・カーブとなる恐れは残る。

金利の影響が小さくない商業用不動産問題や、増加してきた米回転信用(リボ払い)の残高の伸びが頭打ちとなっており、安価な商品へのシフトないしは消費自体が鈍化している可能性があること、などを考えるとまだ下振れのリスクは残る。

最も回避したいのは利下げが緩慢になることで、後で急速に利下げや量的緩和を再開する必要が出てくる場合と、インフレになって再び金融引き締めを行わなければならない可能性だが、現時点では前者の発生リスクの方が高いと考えられる。


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