中東情勢不安・宇露不安でエネルギー上昇
- MRA商品市場レポート
2024年8月8日 第2775号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「中東情勢不安・宇露不安でエネルギー上昇」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は、エネルギーと発電燃料、貴金属の一角が上昇し、その他農産品や非鉄金属、穀物が売られた。想定外に米10年債入札が不調で米長期金利が上昇、ドル高が進行したことが材料となった。
エネルギーはイスラエル・イランを巡る供給面の不透明さ、ロシアとウクライナの戦闘でガスパイプライン付近で戦闘が起きていることに伴う供給不安などが材料になり、軒並み上昇している。
なお、今回の市場混乱の一因とされる日本株急落の原因の1つである、日本の連続利上げの可能性について、日銀内田副総裁が「市場混乱時乗り上げはない、現在の状況が断続的に利上げを行わなければならない、ビハインド・ザ・カーブになっている訳ではない」と発言したことも、市場にやや安心感をもたらした。
エネルギーを巡る地政学的リスクは、その発生の可能性が高まるタイミングで現物を保有しない投機筋の買い戻しが置き、その後は供給不安顕在化リスクの高まりが投機筋の長期に渡るショートポジション保有を困難にするため、価格が切り上がることになる。
実際に新規にロングポジションが形成されるのは、1.需要の回復。2.実際に大規模な供給不安が顕在化した場合、などになるが、前回のロシアのウクライナヘの軍事進行時の価格動向を見るに、供給以上に需要動向が重要であり、足下景気減速・需要の伸び鈍化が見込まれることから、恐らく供給途絶リスクの影響は限定される。
もちろん。ホルムズ海峡が封鎖されて需要の2割近い原油供給が制限ないしは停止すれば、価格は大幅に上昇することになろう。もちろんLNG輸送にも大きな影響が及ぶ。
この場合、世界的にスタグフレーションとなるため、再び景気が失速、各国も景気刺激に舵を切らざるを得なくなる。イランはイスラエルに対して出来レース的な報復を行って終わり、と考えたいがそうならないリスクはまだ残存している。
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