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株暴落でポジション解消の動きで総じて下落
  • MRA商品市場レポート

2024年8月6日 第2773号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「株暴落でポジション解消の動きで総じて下落」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、その他農産品と穀物が物色された。株式市場の混乱に端を発するポジション解消の動きが発生し、ネット買い越しとなっていたエネルギーや非鉄金属は下落し、ネット売り越しとなっていた穀物セクターには買いが入る形となった。明らかにリスク回避の動き。

日本の株式市場は割安・割高議論ではなく、ポジションを強制的に終了させるモードに入っていた。ポジション解消の動きによる相場急落が、別の市場参加者の強制終了のトリガーを引く「テールリスクがテールリスクを呼ぶ展開」だったと言える。

(ファンドにもよるが)複数のセクターに投資を行っているファンドも多いが、多くの場合主戦場は株式市場と債券市場である事が多い。そのため、株価の急変などの影響を受けることになる。

今回の下落は明らかに「株式市場動向を主語」とした相場変動であり、その最後の一押しとなったのが日銀の利上げだった可能性は高い。

ただ、15bp程度の利上げはそもそも予想されていたが、「年内利上げを継続する可能性を示唆」したことが投機筋の記録的な円売りポジションの買い戻しを促す形となった。結果、株安・円高の連鎖的な下落となった。

ただし、今回の円高と商品価格下落で日本の消費者、輸入企業、内需系産業にとってはプラスに作用するため、マイナス面ばかりではない。

とはいえ、今晩も米国の株が大きく下落するような事があれば、総リスクオフの流れが強まる可能性はある。

資産市場に影響を及ぼし、かねてから言われている商業用不動産に問題が波及する恐れもある(リスク許容度の低下したファンドが資金を引き揚げる動き。融資ではなく、プライベート・クレジットなどの詳細が不明なスキームで資金調達を行っている企業もあると考えられるため)。

更に懸念すべきはイランとイスラエルが本格的な戦闘状態になった場合だ(詳細はエネルギーのコラムを参照ください)。この場合、スタグフレーションに陥る可能性は排除できない。

米国は景気が減速すれば利下げ余地があるが、日本は「利下げの余地がもうない」ことから、米利下げによる円高・ドル安バイアスが今度は内需系企業ではなく、輸出企業にマイナスに作用することになる。

結局、急速な市場変化はいずれにしても好ましくないということだろう。

それと同時に今回の市場急変で明らかになったのは、市場価格リスク制御は企業にとっては避けることのできない重要な経営課題、ということである。

これから日本は四半期決算が相次ぐが、この市場急変に対するリスク管理体制作りや、検討、準備を行っている企業がどれだけあるかは、今後より注目しておく必要があるのではないか。火事になってから火災保険には入れないのだ。


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