株式市場安定で買い戻し優勢
- MRA商品市場レポート
2024年8月9日 第2776号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「株式市場安定で買い戻し優勢」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は、エネルギーと発電燃料、非鉄金属、貴金属が幅広く上昇、農産品や穀物などが売られた。
米失業保険申請件数が減少したことで米景気の先行きへの過度な懸念が後退したことや、それを受けた株高でリスクテイクの動きが回復したことが背景。一方でドル高が進行したため、これまでリスクオフで売られてきた訳ではない穀物セクターは水準を切り下げた。
目先、株式市場の急落を受けた信用不安の拡大にまでは至らず、市場は取りあえず落ち着きを取り戻している状況。なお、日経平均株価の推移はブラックマンデー時と同じような動きになっているが、ブラックマンデー時も景気は後退局面入りしていない。
即ち、株価の急落のみで景気が必ずしも後退するわけではないことを示唆している。
しかし、株価の急落はファンドの体力を削り、プライベート・クレジットや社債などを通じて資金を調達している低格付企業から資金が引き揚げられる(具体的には社債を売却し、売却による利回り上昇で借換時の資金調達が困難になる、PCの場合は資金の引き揚げ)といったことが信用不安の拡大につながりかねない。
かねてから言われている商業用不動産も資金繰りが厳しくなれば物件の売却が発生し、不動産価格の下落が担保価値を毀損し、その他の与信行動にも影響が及ぶ可能性がある。過去が大丈夫だったからといって、今回も大丈夫、と考えるのは早計だろう。
結局、9月から始まるとされる米利下げが期待通りの内容となるか、それによってリセッション入りを回避できるのかはまだ不透明であり、そこを乗り切ることができるまではまだ顕著なリスク資産価格の下振れリスクが残存している、ということだろう。
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