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弱めの雇用統計の影響で総じて軟調
  • MRA商品市場レポート

2024年7月9日 第2753号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「弱めの雇用統計の影響で総じて軟調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は総じて軟調な推移となった商品が目立った。上昇したのはかねてから需給ファンダメンタルズがタイトなその他農産品など。

先週末の米雇用統計が市場予想よりも弱い内容だったこともあり、最大経済国の景気減速観測が需要を減じると見られ、価格を下押しする形となった。しかし同時にドル安も進行したため、下落余地は比較的限定されている(というよりはこれまでの投機買いで上昇してきた分の利益確定の動きに限定された、という方が正しいか)。

今後は景気の減速を受けて商品価格が下落、年後半からの米GDP成長ペースの回復観測を背景に2025年にかけて回復して行くというのがメインシナリオだが、各国の選挙結果がそれを阻む可能性が出てきた。

フランスではまさかの極左政党が勝利。結局景気の悪化やインフレに不満を持った有権者が「現政権・与党」以外に投票する動きだった訳だが、マクロンが組んだ相手が失敗だった可能性はある。

特に左派政党「不屈のフランス」は財政拡張を主張、更には原発の廃止も訴えており、この通りとなればむしろ国民のエネルギーコストや金利などの負担は増すことになる。

また、欧州の電力供給の最後の砦である原発が止まれば、脱ロシアを続ける中で夏冬のリスクが高まることになる。それに電力コスト上昇は漸く回復してきた欧州の非鉄金属生産にも影響を及ぼすと見られるため、今回の選挙結果の「広がり」が与える影響は小さくないと想定される。

とはいえ、そうなってしまうことはある程度分かっている事であるため、さすがに左派政党もそこまで強力に公約を推進するとは考え難い。

結局、大衆に迎合することが更に大きなリスクをもたらすことを、まだ有権者は認識していないか、低所得者層の生活はインフレ下ではそのような判断ができないほどに厳しくなっている可能性がある、ということだろう。

これは、昨日発表された米消費者信用残高で、回転信用が増加していることを見ても分かるように、低所得者層は高金利で借金をしながら消費をしている状況であり、この状態が持続可能とは思えない。

こうした選挙の結果を受けて政策が変更される時、大きなリスクが顕在化する可能性があることは意識しておく必要があるのでは無いか。


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