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想定より慎重な日銀の政策変更
  • MRA外国為替レポート

2024年6月17日号

◆先週の市場総括


先週は日米の金融政策決定会合が注目された。米国FOMCでは政策金利は現状維持。注目はメンバーの政策金利予測。年内利下げ回数の中央値は3月時点の3回から1回に減少した。

平均値は1回と2回の間。前週の強めのISM景気指数や雇用統計を受け利下げ期待は後退していたため概ね予想の範囲内だった。

同日に発表されたCPIはインフレ鈍化を示した。週末の日銀の金融政策決定会合では国債購入額の減額方針が決定され、具体的なスケジュールは次回7月会合で決定するとされた。

市場では今会合で月間6兆円程度から5兆円程度への減額が決定されるとみていたため、日銀のスタンスは想定より慎重でハト派との見方が広がった。ただ総裁が減額は相応に大きい金額になると述べたことで失望感は後退した。

ドル円相場は157円ちょうど近辺で始まりCPIを受けて一時155円台に下落したがFOMC後に156円台後半へ。日銀の決定を受けて金曜日には一時158円台に乗せたが引けは157円台半ば。

ユーロは欧州政治不安で軟調。ユーロ円相場は週初に169円ちょうど近辺で始まり週末は168円台半ば。

米国株はまちまち利下げ先送りと消費や企業業績への懸念が重石となり上値の重い展開。日経平均も39,000円台では上値重く概ね38,000円台後半で推移した。

月曜日の東京市場では日経平均が上昇。週末の米雇用統計を受けたドル高円安で輸出関連に買い。国内長期金利の上昇で銀行保険株が強かった。海外短期筋が先物中心に買いを入れたことも押し上げ。ただイベントが続く前で全体としてやや様子見姿勢が強かった。引けは前週末比+354円高の39,038円。

ドル円相場は156円80銭で始まり前週末の流れのまま157円20銭に上昇。その後は157円ちょうど~20銭で推移。欧州市場に入るとユーロ安円高に押されて156円80銭に下落。その後はじり高で米国市場引けは157円ちょうど近辺。

ユーロは欧州市場に入ると下落。欧州議会選挙で与党が大敗。反EUの右派が躍進。またフランスではマクロン大統領が下院解散・総選挙の実施を決定。財政悪化リスクが意識された。欧州政局不透明感がユーロの重石となった。

ユーロドル相場は1.0780で始まり夕刻は1.0750近辺でもみ合い。欧州市場では1.0730~60で上下し引けは1.0760近辺。

ユーロ円相場は169円ちょうど近辺で推移しつつ上値重く推移。欧州市場では168円30銭に下落した。その後は168円30銭~80銭で上下し米国市場では持ち直して引けは169円ちょうど近辺。

米国株はFOMC、CPI発表など重要イベントを前に動意薄。アップル社が年次開発者会議を開催しオープンAI社との連携を表明したが評価が分かれ2%安。NYダウは前週末比+69ドル高の38,868ドル。ナスダックは+59ドル高の17,192ドル。

米長期金利はやや上昇。3年債入札が不調。10年債は4.471%、2年債は4.885%。

発表されたNY連銀調査の期待インフレ率は、1年が3.17%と前月3.26%から低下。3年は2.76%で不変だった。

火曜日の東京市場では日経平均が小幅高。半導体・AI関連に思惑買い。短期筋の買いも押し上げ一時+300円高。ただ午後にも上げ幅を縮めて引けは+96円高の39,134円。

ドル円相場は157円ちょうどで始まり堅調、じり高。夕刻には157円40銭。ユーロ円相場も169円ちょうどで始まり30銭~40銭でのもみ合いへ。ただ欧州市場に入ると円が買い戻された。欧州政治不安から欧州株の下落が続いた。

ユーロ円相場は168円40銭割れ。連れてドル円相場も156円80銭。米国市場に入ると円安に反転。ドル円相場は157円40銭に反発して引けは157円10銭。

ユーロ円相場は169円ちょうどに反発して引けは168円80銭。ユーロドル相場は東京市場では1.0760~70で推移し欧州市場ではやや押して1.0720~30。米国市場の引けは1.0740。

米長期金利は低下。10年債入札が好調で一時4.39%に低下し4.404%。2年債も4.836%に低下。

米国株はまちまち。アップル社の株が一転して7%の大幅高。AI搭載機への買い替え需要への期待が後押し。AI・半導体・ハイテク関連株全般が上昇した。一方、この日から始まったFOMCやCPIへの警戒感からポジション調整が強く一時▲400ドル超下落。引けは戻して▲120ドル安の38,747ドル。ナスダックは+151ドル高の17,343ドル。

世界銀行は今年の世界経済成長率見通しを2.6%へやや上方修正した。

水曜日の東京市場では日経平均が3営業日ぶりに下落。夜に米国のCPI、FOMCの結果を控え、また日銀金融政策決定会合を前に様子見姿勢強まり売買低調。持ち高調整売りが優勢で一時▲300円安。引けは▲258円安の38,876円。

ドル円相場は157円10銭で始まりじり高。夕刻から欧州市場、米国市場朝方にかけては157円30銭~40銭で推移した。ユーロ円相場は168円80銭で始まり堅調。欧州市場から米国市場にかけては169円30銭~40銭で推移。

ユーロドル相場は1.0740で始まりもみ合い横ばい。欧州市場から米国市場にかけては1.0760に上昇した。

注目の米国CPI(消費者物価指数、5月)は前月比0.0%(予想+0.1%、前月+0.3%)、前年同月比+3.3%(予想+3.4%、前月+3.4%)、コア指数は同+0.2%(予想+0.3%、前月+0.3%)、前年同月比+3.4%(予想+3.5%、前月+3.6%)と弱い数字だった。

これを受けて米10年債利回りは4.25%まで低下。ドル円相場は155円80銭近辺まで急落。ユーロドル相場は1.085へ上昇。ドルが全般に下落した。

一方、FOMCではタカ派的なスタンスが示された。政策金利誘導水準は5.25%~5.50%で予想通り据え置き。声明文では最近の指標は経済活動が堅調に拡大し続けていることを示唆している、雇用の増加は力強く失業率は低水準、インフレはこの1年緩和したが依然高止まり、と記された。

ただし、前回の声明では進展を欠くとされていたが、今回はここ数ヵ月目標に向けて進展がみられる、と修正した。政策金利については、持続的に目標の2%に向かっているとの確信が深まるまで利下げは適切ではない、とした。

メンバーの予測では、インフレ見通しが上方修正され、今年が前回3月の2.4%から2.6%へ、来年が2.2%から2.3%へ。注目の政策金利見通しは、年末の中心値が4.6%から5.1%に上方修正され、年内利下げは前回3回から1回に減少。来年は4.1%、再来年は3.1%とそれぞれ1%の利下げを見込んでいる。

利上げの可能性は排除された。年内利下げ1回はある程度市場予想の範囲内でさほど大きなショックになかった。なお、中長期的な水準は2.6%から2.8%に上方修正された。

これを受けて米長期金利は上昇してドルは反発。10年債利回りは4.318%。2年債は4.756%。ドル円相場は156円90銭に上昇して引けは156円60銭近辺。

ユーロドル相場は1.08ちょうど近辺に下落して引けは1.0810。ユーロ円相場はCPIを受けたドル安円高に連れて168円80銭に下落したが、その後反発して引けは169円30銭。

米国株はCPIとFOMCを受けて上下。NYダウは弱いCPI、長期金利低下を受けて寄付き直後に+370ドル上昇。しかしFOMCでタカ派的なスタンスをあらためて確認すると下落し、引けは▲35ドル安の38,712ドル。ナスダックは+264ドル高の17,608ドルで引けた。

木曜日の東京市場では日経平均が続落。米ハイテク株高を受けて朝方は堅調。一時+300円超上昇した。しかしその後は伸び悩み下落に転じた。この日から始まった日銀金融政策決定会合で国債購入の減額など追加引き締めが決定されると想定されており、警戒感が重石となってポジション調整に押された。引けは▲156円安の38,720円。

ドル円相場は156円60銭で始まり底固く80銭中心に推移。夕刻から欧州市場にかけて上昇し米国市場朝方にかけて157円20銭中心にもみ合いとなった。

ユーロ円相場も169円40銭で始まり午後から欧州市場にかけて170円10銭まで上奏した。ただその後は169円40銭に反落。

ユーロ圏鉱工業生産(4月)が前年同月比▲3.0%と予想を下回る弱い数字となった。ユーロドル相場は1.0810で始まりもみ合い横ばいのあと、欧州市場で1.0780へ下落した。米国市場に入ると弱い経済指標を受けて米長期金利が低下。ドルが下落した。

発表された生産者物価指数(PPI、5月)は前月比が▲0.2%の下落と前月+0.5%から一転し予想+0.1%を下回った。

前年同月比も前月+2.2%から+2.5%への上昇予想に反して+2.2%と横ばい。コア指数は前月比が0.0%と横ばいで前月+0.5%から上昇が止まり、前年同月比は前月の+2.4%から+2.3%へ上昇が鈍化した。

また週次の失業保険新規申請件数は242千件と前週229千件から増加。継続受給も1,792千件から1,820千件へ増加した。

インフレ沈静化、労働需給の緩和を示したことで10年債は4.242%へ、2年債は4.701%へ低下。

ドル円相場は156円60銭に下落。ただその後は157円30銭に反発して引けは157円ちょうど近辺。

ユーロドル相場は1.08ちょうどに上昇したが反落し1.0740で引け。ユーロ円相場は169円80銭に上昇したあと168円30銭に反落し引けは168円60銭。

米国株はまちまち。雇用情勢の悪化で消費や企業業績に懸念が広がり景気敏感株や消費関連株が売られた。NYダウは長期金利低下を支えに+300ドル上昇したが反落し前日比▲65ドル安の38,647ドル。ナスダックは+59ドル高の17,667ドル。

金曜日の東京市場では日銀金融政策決定会合の結果待ちで午前中は各市場とも動意薄。結果は昼頃に公表された。

市場では国債購入額を6兆円から5兆円程度に減額すると予想していたが、次回7月会合で今後2年程度の減額スケジュールを詳細決定する、とし、その間、債券市場関係者にヒアリングすることとした。

減額の詳細が不明で、減額することだけを決定したことで、市場では緩和解除の先送り、利上げも遅延、との見方が強まった。

日経平均は午前中売りに押されたが、決定を受け金融正常化への慎重姿勢、ハト派との受け止めから後場は買い戻し。一時+300円上昇。ただ植田総裁会見を見極める必要があるとして上げ幅を縮めた。引けは+94円高の38,814円。

ドル円相場は157円ちょうどで始まり昼前には30銭までじり高。日銀会合の結果公表直前にはポジション調整で156円90銭に下落。結果公表を受け、ハト派的な内容から円売りが強まった。午後の総裁会見前には158円20銭台までドル高円安。

ユーロ円相場も168円60銭で始まり169円に上昇、結果公表直前に168円50銭に下落していたが、結果判明で169円80銭へ急騰した。

ただ植田総裁が会見で、減額は相応の金額になる、とし、また7月会合での利上げも否定しなかったことから円買い戻しが強まった。ドル円相場は156円90銭へ反落。ユーロ円相場は167円50銭へ急反落した。

欧州市場では政治への不透明感が強まり株価が下落。ユーロ、ポンド、などが軒並み売られた。ポンド円相場は200円の大台割れ。ユーロドル相場は1.0740で始まりもみ合い横ばい。夕刻から欧州市場では1.0670へ下落した。

米国市場では円買い戻し一服。ドル円相場は157円40銭へ、ユーロ円相場は168円40銭へ、それぞれ戻して引け。ユーロドル相場も1.07ちょうど近辺まで戻した。

発表された米国の輸入物価指数(5月)は前月比▲0.4%と予想+0.1%に反して前月+0.9%から下落に転じた。前年同月比は+1.1%。エネルギー価格の下落を受けた。

ミシガン大学消費者信頼感指数(6月速報)は前月69.1から72.0への改善予想に反して65.6へ大きく悪化。3ヵ月連続で低下し昨年11月以来の低水準となった。期待インフレ率は1年が前月3.3%のまま、5年-10年が3.0%から3.1%に上昇。物価高と所得減少への懸念から消費者心理が悪化したとされた。

10年債利回りは前日比やや低下して4.221%、2年債はほぼ横ばいの4.707%。

米国株はまちまち。消費悪化懸念に加え政局不安を受けた欧州株の下落も重石。NYダウは前日比▲57ドル安の38,589ドル。ナスダックは+21ドル高の17,688ドル。

◆今週の3つの注目ポイント


1.米国の経済指標

先週FRBはFOMCを開催した。メンバーの政策金利予測の中心値は、年内利下げ回数が3月時点の3回から1回に減少。平均値では1回と2回の間に減少した。今後の景気物価動向次第で流動的だ。

月曜日 NY連銀製造業景気指数(6月、前月▲15.60)

火曜日 小売売上高(5月、前月比、予想+0.3%、前月+0.0%) 鉱工業生産(同、予想+0.2%、前月+0.0%) 設備稼働率(同、予想78.6%、前月78.4%)

木曜日 住宅着工件数(5月、季節調整済み年率換算、予想1,380千戸、前月1,360千戸) 週間新規失業保険申請件数 フィラデルフィア連銀製造業景気指数(6月、予想4.5、前月4.5)

金曜日 PMI景況感指数(6月速報、製造業、前月51.3、サービス業、前月54.8) 中古住宅販売(5月、季節調整済み年率換算、予想410万戸、前月414万戸)

2.日本の経済指標、日銀会合議事要旨(4月25日・26日分)

水曜日に日銀金融政策決定会合議事要旨(4月会合)が公表される。すでに先週の会合で次回7月会合での国債購入額減額方針が決定されたが、どれほど前向きな意見が出ていたか。減額の規模に対するイメージを左右するか。

同日、通関統計(5月)が発表される。貿易収支は前年の▲1兆3,800億円の赤字に対し、予想は▲1兆3,100億円。

注目は週末金曜日の消費者物価指数(5月)。総合指数は前月+2.5%から+2.9%へ、除く生鮮食品は前月+2.2%から+2.6%へ上昇加速の予想。一方、除く生鮮食品・エネルギー(コアコア)は前月+2.4%から+2.2%へ上昇鈍化が予想されている。

2.欧州の経済指標

ECBはすでに利下げを決定しているが、今後の利下げペースは不透明。インフレ率低下ペースの鈍化や景気懸念が後退していることが背景。

火曜日 ドイツZEW景気指数(6月速報、期待指数、予想50.0、前月47.1、現状指数、予想▲69.0、前月▲72.3) ユーロ圏CPI(5月、前年同月比、予想+2.6%、前月+2.4%、コア、予想+2.9%、前月+2.7%) PMI景況感指数(6月速報、ユーロ圏、製造業、前月47.3、サービス業、前月53.2)

ほか、月曜日には中国で5月の主要経済指標が発表される。小売売上高は前年同月比で前月の+2.3%から+3.0%へ加速、鉱工業生産は同+6.7%から+6.0%へ減速の予想。

火曜日に豪州中銀、木曜日にスイス中銀、イギリス中銀、がそれぞれ金融政策決定会合を開催する。今回はいずれも政策金利の変更は予想されていない。

◆今週のMRA's Eye


想定より慎重な日銀の政策変更

先週、日銀は国債購入額の減額方針を決定し、具体的な金額やスケジュールは次回7月の会合で決定するとした。いわば、決定することを決定した、というかたちだ。

イールドカーブ・コントロールはすでに撤廃。長期金利の形成は基本的に市場に委ねる、との方針を決めていた。しかしその後も、急激な上昇については適宜の国債購入によってコントロールするとしていた。

幸いにもそうした局面はここまで生じなかった。

日銀が警戒しているのは長期金利の急騰。国債購入減額を一方的に決めた場合、市場とのコミュニケーションが不十分で、今度こそ急騰するリスクがあると考えたようだ。

そのため次回7月までに市場参加者にヒアリングを行うと決めている。ヒアリングを実施する場合、国債減額の方針を決定していなければ市場が疑心暗鬼になる可能性がある。政策決定プロセスを考えた場合には、決定することを決定、という今回の結果はやむを得なかったとみられる。

ただし、市場の事前予想では、現在月間6兆円程度の国債買い入れ額を5兆円程度に減額しすぐに実行すると考えていた。

そのため今回の決定を実質的に国債購入減額の先送りと捉え、また金融正常化にかなり慎重なスタンスとの見方が強まった。利上げについては、7月会合との見方が市場の大勢だった。

しかし今回のハト派的な決定を受け、また7月に国債購入減額の具体案が決定されることもあり、同時に利上げに踏み切ることはないのではないか、利上げも先送りされる可能性が大きい、との見方が強まった。そのため結果発表直後には円安が進み、ドル円相場は一時158円台をつけた。

これに対し、植田総裁は15時30分からの定例会見で市場のそうしたハト派的な見方を修正した。

プロセスについては慎重に慎重を重ねて、市場の混乱、長期金利の急騰を避ける方針であることを認めた。

ただ国債購入減額の規模については、相応に大きな金額になる、と述べた。

日銀のバランスシートは縮小していくと明言。2年程度のスケジュールを明確にすることによって、市場の予見可能性を高めつつ、金融正常化に向かう方針だ。さしあたり、7月に減額スケジュールを決定し実行し始めたあとで長期金利の上昇がどの程度となるか、見極める必要がある。

一方、政策金利については何らのヒントも与えなかった。7月会合での利上げは難しいのではないか、との質問には明確に答えず。利上げの可能性は否定しなかった。

国債購入減額は今後2年間のスケジュールを定めて予見可能性を確実に高める方針だ。

一方政策金利については今のところガイダンスはない。当面、緩和的な金融政策を続ける、という大枠のガイダンスがあるのみ。こちらについては予見可能性を低いまま、政策の自由度を保つ方針とみられる。

今回の会合の結果は円高に寄与していない。とくにFOMCで利下げが先送りされることがあらためて明確となったことで、ドル円相場はなお高水準で推移している。

ただ金融正常化に半歩前進したことは確か。これをもって、さらに円安が進む材料ではない。円高材料とならず、円高への動きを緩慢とする材料というのが論理的な解釈だろう。

また国債購入の減額を実施しバランスシートの縮小に動き始めれば、投機筋を中心に円先高感が強まり、円買い戻しが進むと想定すべきだろう。そのペースは減額スケジュール次第。そこに利上げも加われば、一段と円安修正が進むとみられる。

日銀の動きをもとに考えれば、7-9月期にやや円高に振れ、追加利上げが実施されているであろう10-12月期にはさらに円高に水準訂正する、年末に150円を試す程度、というのがメインシナリオ。

この頃にはFRBが利下げを開始している可能性が高い。初回が11月なのか、あるいは9月に前倒しされているか。このところの米国の経済指標には弱い数字が散見され雇用緩和や消費鈍化が明確だ。

メンバーの予測は年内ゼロもいるが少数派。利上げはひとりもいない。中央値である1回よりも2回との見方がやや多い。

ユーロ円相場の値動きをみると、ドル円相場以上に円高に反応している。ここには欧州での政治不透明感、欧州株の下落、など欧州サイドの要因が寄与しているとみられる。

ただすでに各国が利下げ局面に入り始めた。

イギリスは8月に利下げ開始との見方が大勢。カナダは利下げを実施し、米国に先行してどの程度利下げができるか、次回利下げがいつになるかも焦点だ。

日銀と米国以外の各国の金融政策格差は逆方向に動き始めた。少なくとも円全面安には歯止めがかかりそうだ。

なお7-9月期は円安水準にとどまるとみられるが、一段と円安が進行し、ドル円相場が160円を突破してドル高円安が進む事態は確度の低いリスクシナリオにとどまるのではないか。


主要指標は、有料版「MRA外国為替レポート」にてご確認いただけます。
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